北朝鮮だけじゃない、国防の脅威はやっぱり“あの国”… 陸海空「幹部自衛官」緊急座談会

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「夏はロシア、冬は北朝鮮」

空自 勿論です。ただ、私もやはり中国の方が脅威レベルは高いと思います。

海自 東シナ海のみならず太平洋でも空母は活発な動きを展開し、中国公船による尖閣諸島周辺のEEZ(排他的経済水域)への侵入回数は増え続けている。

陸自 先ほど言ったとおり、我々も水陸両用部隊を立ち上げて離島奪還のための上陸訓練などを行っています。その意味では、中国の脅威に対処すべしという認識では一致しています。ただ、一般の陸自部隊における日常の訓練シナリオから見れば、「夏はロシア、冬は北朝鮮」といった雰囲気が未だに根強い気がしますね。

空自 冬は北朝鮮???

陸自 夏場は野外での戦闘訓練が多いのですが、真冬はさすがに減ります。その分、市街地での対ゲリラ戦訓練が増える。それは北朝鮮からの潜入工作員を想定していると思っていいでしょう。もちろん、雪国の部隊は冬にスキー戦闘訓練などもやっていて、練度は非常に高いですよ。

海自 なるほど。実際、夏はロシア艦隊の動きも活発になります。真冬に大規模な軍事行動を起こすのは、ロシアにとっても容易なことではないですしね。

空自 それを言えば、北朝鮮軍も冬はつらいはず。一方で、相手がつらい時に実力を探るのも軍事の世界ではよくあること。最近だと、東日本大震災の時は大変でしたね。災害派遣中にも、あちこちでスクランブル発進が急増しました。

海自 ああ、そうでしたね。海自でも震災直後から、多くの艦船が東北だけでなく日本海や南西方面に向かいました。自衛隊が被災地に集中している隙に日本の領海に近づき、我々の対処能力の限界を確かめようとする国々がありましたから。

空自 日報問題や国会議員に罵声を浴びせる自衛官が出てきたり、色々とお騒がせしており、忸怩たる思いです。その分、どうやって国を守るのか、この議論がないがしろにされかねませんから。過去に安倍さん(晋三・官房副長官=当時=)や中川昭一さん(自民党政調会長=当時=)が、「核保有を憲法は禁じていない」「核保有の議論はあっていい」などと発言して、騒動になりましたね。論じることまでタブーになれば、それこそ時代のリアリティを見失いかねず、懸念するばかりです。

週刊新潮 2018年5月24日号掲載

特集「緊急企画『幹部自衛官』匿名座談会 『米朝会談』でも解決しない! 最前線が考える『日本の核武装』」より

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