破産シェアハウスの「実質オーナー」と「村西とおる」監督の意外な接点

社会2018年5月29日掲載

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遂に自殺者が出たと弁護団が発表

 東京地裁は5月15日、スマートデイズ(東京都中央区銀座/旧社名:スマートライフ)の破産手続き開始を決定した。女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」などの運営を行っていたが、入居率の低迷から資金繰りが悪化していた。

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 今年1月からはメディアも問題点を大きく報道してきた。ご存知の方も多いだろう。不動産業界の関係者が言う。

「最近のシェアハウスブームに目をつけ、スマートデイズはオーナーを募り、シェアハウスに投資させてきました。そして、ハウスをオーナーからサブリース(転貸)する形で部屋数を拡大、急成長を遂げてきたのです。ところが、肝心の入居者が、それほど集まりません。オーナーの大半は自己資本ではなく、借金をして投資していました。借金の返済が滞ったどころか、オーナーの生活すら危うい状態となっています。実際、弁護団は4月17日、自殺者が出たと発表しました」

 今のところ被害者は約700人。負債は60億円を超えたとも報じられている。そしてオーナーに“投資”費用をローンで貸したスルガ銀行(静岡県沼津市)も、「スルガ銀、前期大幅損失計上へ シェアハウス融資、数百億円規模か」(日本経済新聞・5月4日付)と関心が高まっている。

 スマートデイズの具体的な“手口”は、次のような具合だ。まずは大手企業の社員など、比較的、高収入者を対象とした投資セミナーを開く。そこで説明されるのが、女性専用シェアハウスへの“投資”だ。

ベッキーを“広告塔”に起用

 彼らの説明によると、シェアハウスに敷金や礼金はない。水回り設備は共有だが、部屋には家具や家電が設置されている。初期費用1万円と家賃だけで入居可能だ。職を求め、単身で上京する女性は依然として増加傾向にある。ニーズは多い。無職女性には仕事の斡旋も行う。こうして家賃収入は安定し、シェアハウス建設に対する投資は、確実にリターンが期待できるものになる――。

 スマートデイズは、こうして投資を呼びかけた。例えばシェアハウスの購入費用が1億円だとして、頭金も必要ない。スルガ銀行で融資を受け、ハウスを買い取る。それをスマートデイズに丸ごと貸す。

 これが「サブリース」、つまり「転貸」だ。スマートデイズは転貸の物件に入居者を集め、家賃を得る。それでオーナーに賃料収入を支払う。オーナーは借金を返済し、利益も得るというのが“皮算用”だった。

 スマートデイズは2017年2月からタレントのベッキー(34)をCMに起用、会社の知名度と信用度を高めた。その効果もあってか、13年に4.45億円だった売上は、17年には316.9億円にまで膨れあがっている。

 だが、急成長は需給バランスを壊し、入居率が低下。18年1月には都内でオーナー向け説明会を開き、「1月以降は賃料支払いのメドが立たない」と説明した。これにマスコミも反応し、同社とスルガ銀行の問題に関する報道は、今でも行われている。スマートデイズを経営する社長の名前も、何度も登場した。

「ビデオ安売王」との意外な関係

 にもかかわらず、「実質的な経営者は別人」とする報道も少なくない。例えば月刊誌「FACTA」の電子版「FACTA ONLINE」は16年3月号「『かぼちゃの馬車』スマートライフの裏側」の記事を掲載している。そこには、以下のような記述がある。

《関係者は「実質的な経営者は別人だが、事情があって表に出られない」と打ち明ける。そのわけありの人物は佐藤太治氏いう(註:原文ママ)。

 佐藤氏はバブル期に「ライオンズ石油」社長として格安ガソリンやカリフォルニア米の自主輸入を手掛け、お上に楯突く経営者と持て囃されたこともある。その後、1993年に「ビデオ安売王」というビデオショップチェーンを創業し、瞬く間にフランチャイズを全国1千店に広げたが、95年に風営法違反(禁止区域営業)容疑で佐藤氏自身が富山県警に逮捕された。その翌年、失速した安売王の運営会社の「日本ビデオ販売」を「計画倒産させた」(アダルト業界大手)と、裏街道で騒がれたツワモノだ。同社の扱うソフトの多くはAVで、通常のレンタルショップと異なり身分証提示の気まずさがないため流行った。98年には旧住専から16億円を詐取した容疑でも逮捕された》

 この日本ビデオ販売と“仕事”をした経験があるのが、有名AV監督の村西とおる氏(69)だ。ご本人が振り返る。

「私自身は、佐藤氏に騙されたことはありません。一緒に仕事をして、むしろ彼には好感を持っているぐらいです。金払いの極めていい男でした。私に2億円を持ってきて、『これで作品を作ってください』と頼んできました。その決断力と実行力には感心したものです。自慢ではありませんが、私の作品は大ヒットしました。ビデオの入荷や制作に苦しんだのは事実だと思いますが、もっとうまく経営する方法はあったはずだと思うのです」

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