米朝会談でも解決しない! 最前線が考える「日本の核武装」 陸海空「幹部自衛官」緊急座談会

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ミサイル防衛という自賠責保険

陸自 いつ、どこへ、何発撃って来るかわからない中で、迎撃態勢を維持しなければならないわけでしょう。予算や人員がいくらあっても足りませんよ。

海自 純粋に軍事的には、「核は核で抑止するのが最も確実かつ安上がりだ」ということが世界の常識。ですから、実は北朝鮮の方が“常識的”な戦略を取っていて、逆に迎撃に国家の命運をかける日本の方が“非常識”とも言えます。

空自 ただ実際は、日本を核ミサイルの脅威から守ってきたのは米軍の核ミサイルです。イージス艦やペトリオットによる迎撃は万が一の保険に過ぎません。

海自 自動車保険に喩えれば、アメリカによる「核の傘」が任意保険、ミサイル防衛は最低限の自賠責保険といったところでしょうか。

陸自 言い得て妙です。北朝鮮の核ミサイルを国民が脅威だと感じるのは、何を考えているかわからないから。アメリカの核による抑止が金正恩(朝鮮労働党委員長)に対しても有効なのか、確信が持てないわけです。核ミサイルなら、ロシアも中国も数十年前から日本を壊滅させるのに十分なものを保有している。それに対し日本は長い間、ミサイル防衛システムなんて持っていなかった。中ロに対してはアメリカの核抑止力が効いている、という暗黙の了解があったからでしょう。

海自 そういうことですね。そして冷戦が終わって、それら核大国による核の傘の有効性にいち早く疑いを抱いたのが、他ならぬ北朝鮮というわけです。北朝鮮は、「いまやロシアや中国は、アメリカの攻撃から我が国を守ろうという意思がないのでは」という不信感から、独自の核開発に突き進んだ。つまり、北朝鮮の核兵器は開発当初から、米中間あるいは米ロ間の相互核抑止体制の“埒外”にあるんです。

空自 だからこそ、アメリカの核の傘は北朝鮮には効かないのではないか、という疑念も生じることになる。さっきの例にならえば、外資の任意保険に高い掛け金を払ってきたのに、何か事故が起こってもその保険会社がきちんとカネを支払ってくれるかどうかが不安になってきた。更に自賠責の保険料も値上がりし続けているといった状況ですかね。そこで出て来るのが、日本の核武装論というわけです。

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