新潟女児殺害 なぜ警察は「性犯罪」常習者を野放しにしたのか

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警察どまりの情報

 性犯罪関連では現在、13歳未満に対する強制猥褻など特定の罪を犯した受刑者の出所や住所の情報を、法務省から警察に伝えるようになっているが、情報は警察どまりとなっている。刑事法学が専門の常磐大学元学長、諸澤英道氏は言う。

「たとえば地域を守る施設や人々、学校や地域防犯協会などに限定して情報を警察から提供する。あるいは、登下校ルート近くに性犯罪者が住んでいるならば地元警察が重点地区に指定し、親御さんや地域の人による送迎を、半ば義務付けるような手段も検討できます」

 米国や韓国などで導入されている、常習者をGPSで監視することにも賛成だという。

「日本ではかつて、宮城県が導入を検討したものの頓挫したことがありました。GPSを無理やりつけるのではなく、GPSをつけることで犯罪者の側に釈放が早くなるなどのメリットがあって本人が了承すれば、人権問題にもなりません」

 監視されつつ、活動は自由。自分の意志で再犯しない環境を作るのだという。

「ただ日本でこうした議論、動きが鈍いのは、監視社会を好まず、疑わしきは罰せずという意識が強いからでしょう。現在、出所した性犯罪者の規制がまったくないので、GPSは使いやすい方法だと思います」

 もちろん、人権派弁護士や大手マスコミが犯罪者の人権をひたすら守ってきた結果との側面もあるにはある。しかし、いま訴えたいのは、警察どまりとなっている常習者情報の活用。性犯罪の履歴の更新を止められるかどうかはその活用法にかかっている。

週刊新潮 2018年5月24日号掲載

特集「『新潟小2女児殺害』の全貌! 『23歳電気工事士』が刻んだ性的倒錯の履歴」より

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