“段ボール一杯のピン札”から“錦鯉”まで… 「田中角栄」カネの流儀

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錦鯉を運ぶ

“作業”はそれで終了ではなかった。

「角さんの秘書に呼び出され、金を詰め終わった段ボール箱を1つ、北陸の自民党系候補の元に運ぶよう命じられたのです。車ではなく電車で行けというので、重い箱を抱えて新潟から向かいました。今襲われたらどうしよう、と内心ドキドキしながらね。候補者本人に渡せとの命令だったので、“角さんからの陣中見舞いです”と言って手渡しました」(同)

 無論、陣中見舞いは金だけに限らない。

「角さんが何かを配る時の口癖は“圧倒的な差を見せつけろ”。他の議員が一升瓶を1本寄付したら、こちらはケースや樽ごと送る。後援会では誰に何をどれくらい配ったかをしっかりとリストにまとめており、選挙の際には前回と同等かそれ以上の物を送るように、と厳命されていた」

 と言うこの越山会関係者が“運べ”と命じられて最も驚いたのは、

「地元新潟の名産の錦鯉。県内の業者から買った錦鯉をビニール袋に入れ、新潟から目白の角さんの自宅まで運びました。てっきり、自宅の庭に放すものだと思っていたら、そうではなく、事務所の人がどこかに持っていく。後で聞いたらそれは高級な錦鯉だったらしく、支援者の元に運ばれて金に換えられる、とのことでした。現金だとまずい場合などにそうした手法が取られていたようです」

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