唾液で分かる「健康リスク」 4万9800円「遺伝子検査」を受けてみたら…

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未来も現在に影響を与える

 最後に、体力と体調維持のため、ウォーキングを日課とする40歳の部員について。

「ちいさな頃、右肩だけにアトピーの症状が出たことがありまして。てっきりリスクが高いのかと思っていたら逆で拍子抜けでしたが、それ以外は心当たりのあるものばかりでした」

 最もリスクが高いとされたのは関節リウマチで2・46倍だった。

「確か祖母がそうだったと記憶していますし、過去の健康診断でも要注意の項目に入ったことがあります。遺伝的にも環境的にもリスクが高いのかもしれません。次に高かったのは心臓発作の1・89倍。これも以前に心肥大と言われたことがあったので、おぼろげながら意識はしていました。また、非常に強い近視や緑内障が1・4倍前後。父親は目が悪かったり眼圧に多少の問題を抱えていたりして、これも想定内でした。びまん性胃がんも1・4倍だったので、胃カメラと、どうせなら同時にということで大腸の内視鏡検査もやったら大腸ポリープが2つ見つかりました。きっかけは大事ですね」

 大腸ポリープが大腸がんに直結するわけではないが、運動不足や肥満がそのリスクを高める可能性が指摘されている。日々のウォーキングにもよりポジティブな姿勢で臨むことになろう。

 ところで、これまでジーンクエストでサービスを受けた人は「5ケタ以上」いる。彼らはどんな感想を漏らしていたのだろうか。

「自分の遺伝情報を知ることができて良かった、結果が面白いなどの感想をいただいたり、これを機に生活改善をしたい、もう少し健康に関心を持ちたいなど、自身の遺伝情報を健康管理に役立てられたりしています。例えば太りやすい遺伝子を持っていることがわかれば、食事量を調整したり運動量を増やしたりされているようです」

 と高橋さんは話し、世界の趨勢について触れる。

「エストニアでは、国民全員に遺伝子検査を受けてもらおうとする動きが今年から始まっています。また、アメリカでは受検者が急増中。遺伝子検査の低価格化が進んでいるからだと思います。日本もそうなってくるかもしれません」

〈過去が現在に影響を与えるように、未来も現在に影響を与える〉

 高橋さんはニーチェのこの言葉を初めて知ったとき、とても腑に落ちたのだという。事実、自著にこう記す。

〈自分が将来200歳まで生きると知ると、今すごしている時間と同じような「現在」のすごし方を選択する人は少なくなるはずです。思い描いた未来の姿というのは、現在をおそろしいほど変化させます〉

 ニーチェが語った時代よりも遥かにその言葉に真率な響きが伴う今。タイムトラベルはできないにしても、それに類似した行為が遺伝子解析だということになる。

週刊新潮 2018年5月17日号掲載

特集「30歳リケジョ社長が解析 最新『遺伝子検査』で『三大疾病』リスクから肌に合う化粧品まで」より

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