相模川の「鮎」例年の4倍以上 漁解禁前の“嬉しい異変”

国内 週刊新潮 2018年5月17日号掲載

  • ブックマーク

 石垢になほ食ひ入るや淵の鮎(去来)

 今年も鮎の季節がやって来る。解禁の日、釣り天狗が川に立ち込む姿は初夏の風物詩だ。関東では神奈川県を流れる相模川が、鮎釣りのメッカとして知られているが、毎年5月には、稚鮎が飛び跳ねる様子が見られる。

 ところが、今年はその相模川に“嬉しい異変”が起きているという。

「毎年、神奈川県の内水面漁業振興会で、解禁前に鮎の遡上調査を行っているのですが、今年は4500万尾もの稚鮎が確認されているのです。例年の遡上は数百万尾から1000万尾ですから、4倍以上です。異常な多さという他ありません」(県内水面漁業振興会関係者)

 実際、地元の釣具店(囮(おとり)鮎の販売も行っている)も驚いており、

「堰の横には鮎が登りやすいように魚道が作ってあるのですが、上から見ると鮎だらけで川が真っ黒です。うちは20年近くやっているけど、こんなのは初めてだね」(相模原市の葉山島おとり店)

 いつもは深場にいる深海魚が頻繁に打ち上がったり、魚が湾内に溢れると大地震の凶兆などと言われたりもする。

 だが、大量遡上の理由は、専門家も釣り師も分かっていない。

「鮎は秋になると川で産卵し、稚魚は海で過ごします。海にいる間、何かの理由で大きな魚(イワシやサバ)に食べられなかったという理由も考えられます」(相模川ふれあい科学館の担当者)

「鮎は上流でも産卵するけど、冬は水が冷たくて稚魚は生き延びられない。去年はちょうど産卵の時期(10月)に台風がやって来て鮎の卵が大量に海に流された。それで、生き延びた鮎が多かったって話だよ」(地元の鮎漁師)

 あまりの鮎の多さに餌のコケが足りず、魚体が小さくなってしまう心配もあるというが、とまれ、相模川の鮎漁の解禁は6月1日。例年にも増して釣り天狗が押し掛けて来ることだけは間違いない。