瀕死の妻に“綺麗だよ綺麗だよ” 「偽装保険金殺人」容疑者が演じた“悲劇の夫”

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“綺麗だよ綺麗だよ”

 それだけではない。志帆さんが勤めていた大阪府内のドッグランが併設されたカフェのオーナーの前でも、「悲劇の夫」は必死の“演技”を見せていた。

「事件当日の7月18日は店の定休日でしたが、“海に行く”などという話は周囲に一切していませんでした。翌19日の朝に志帆さんの母親から取り乱した様子で電話があり、“白浜で意識不明の重体になっている”と聞きました」

 オーナーはそう話す。

「すぐに白浜に向かい、夕方頃に病院に着くと、夫の孝史さんが走り寄ってきて私の手を両手で握って私の下の名前を何度も口にしたのです。そこまで親しい間柄ではなかったので違和感を覚えました。また、意識が戻らない志帆を病室で皆で見守っている時も、孝史さんが“綺麗だよ綺麗だよ”と言いながら志帆の顔をさすったりしていて、気持ち悪いと思いました」

 志帆さんが死亡したのは、海から引き揚げられた2日後だった。

「志帆さんの葬式は、異様な雰囲気の中で行われました。彼女のご家族は最初から孝史さんに対して疑念を抱いていたようで、お兄さんは事件直後に自ら白浜の海に入って現場を確認し、“胸くらいまでしか水位のない浅瀬なんです”と話していました」

 そう語るのは、志帆さんが懇意にしていたペットグッズショップの店主である。

「お兄さんは“志帆は自分たちより泳ぎが上手いのにあんな所で溺れるはずがない”とも言っていました。一方の孝史さんは葬式の時、人と目を合わせることなく下を向いたままで“えらいことになりまして……”と言葉を濁すばかりでした」

週刊新潮 2018年5月3・10日号掲載

特集「瀕死の妻の名を連呼で『ロス疑惑』の記憶が甦る! 白浜の保険金殺人『完黙夫』の性的倒錯」より

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