社を出禁になったOBが語る「森友文書スクープ」でも朝日新聞がはしゃげない事情
朝日新聞が3月2日付紙面で掲載した「森友文書改竄」報道は、まぎれもないスクープ記事だった。“日本のクオリティ・ペーパー、捲土重来か”と思いきや、内情はさにあらず。朝日OBの川村二郎氏が明かす“それでもはしゃげない、朝日新聞”の実態――。
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朝日新聞の旧知の現役記者から、衝撃的なメールがきたのは、財務省が公式文書を改竄したという特ダネを朝日が報じてから二週間ほどしてからのことだった。
朝日の特ダネは「改竄を確認した」と書いてあったので、「証拠はないのかもしれない。もしも特ダネがフェイク・ニュースとわかったら、朝日はいよいよ終わりだ」と、私は思っていた。しかし、最初は朝日の特ダネに懐疑的だったメディアがそろって財務省の改竄を報じ、財務省もその事実を認めたので、胸をなでおろしたのだが、同時に、「朝日は今ごろ『勝った、勝った』と、大はしゃぎだろうな」と想像していた。
ところが記者からのメールは、部数の激減を伝えるもので、「特ダネに浮かれている場合ではないですよ」と言っていた。特ダネが部数増に直結しないことは新聞社の常識だが、それにしてもここまで減ったとは、新聞の将来に悲観的な私にも、想定を越えるものだった。
メールによると、朝日が二月に公表した部数は五百万台だったが、社内では四百万部を切ったというのがもっぱらの噂だという。噂が事実とすれば、病気の親の担当医が、
「親族を呼んでください」
という緊急事態である。
それにしても、朝日を定年になって二十年以上もたつのに、どうしてこんなメールがくるのか不思議な気もするが、それについては手前味噌になるが、思い当たるフシがないわけではない。私は『週刊朝日』の副編集長の時に譴責(けんせき)、編集長の時にはワンランク上の戒告処分を受けた。断っておくが、セクハラのような不届きなことが理由ではない。雑誌作りではよくあることである。
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