食欲コントロールで脂肪を燃やす! 「自律神経」の鍛え方

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 満腹中枢が刺激されると、脳が満腹感を覚える――。そのことは広く知られているが、詳しいメカニズムまで把握している方はそう多くはあるまい。ダイエットに生かす方法はないのだろうか。

「交感神経の中枢が満腹中枢でもあり、副交感神経の中枢にあるのが摂食中枢です。交感神経は活動時に優位に働き、副交感神経は休息時に活性化されます」

 そう説明するのは、『やせられないのは自律神経が原因だった!』(青春出版社)の著書もある京都大学名誉教授の森谷敏夫氏である。

「お互いに相反する働きを持つ2つの自律神経は、一方が活性化するともう一方は抑制されるようになっています。満腹中枢が活性化され、交感神経が優位になると、副交感神経の働きが抑えられることで食欲は消え、食べるのを止められる。つまり食欲は自律神経の働きと密接に関係しており、ダイエットの成功には自律神経の機能向上が欠かせないのです」

 それだけではない。自律神経は体内の脂肪の燃焼とも大いに関係があるのだという。

「交感神経が活性化されると、同時にアドレナリンやノルアドレナリンというホルモンが分泌されます。これらは交感神経から、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞に運ばれる。この両細胞には、β3アドレナリン受容体というアンテナがあり、アドレナリンやノルアドレナリンをキャッチして、脂肪の燃焼が促進されます」

 と、森谷氏。すなわち、自律神経は食欲と体脂肪燃焼に関するスイッチのような役割を果たしており、

「自律神経を鍛えて常にきちんと機能する状態に身体をもっていけば、むやみに食べ過ぎることがなくなり、体脂肪も燃焼される」(同)

 自律神経と肥満の関係を示すデータもある。2002年7月から12月に東京医科歯科大学更年期外来を受診した女性のうち、糖尿病や高血圧の持病がない243人を分析したところ、自律神経の働きが低い人ほど体脂肪率やBMIが高い、との結果が出たのである。

「そもそも、自律神経の機能が高いというのはどういう状態なのかというと、交感神経と副交感神経の両方が元気いっぱいに働いて、素早く切り替えができる、ということです。シーソーに例えると、それぞれが大きな振り幅で力強く上下している状態」(同)

 高齢者の場合でも、自律神経は鍛えれば鍛えるほど機能が高まるという。しかも、日常生活の中で手軽に鍛えることができる。

「基本は、頻繁にちょこまか動くこと。わけもなく立ったり座ったり、歩いたりするのが良いのです」

 と、森谷氏は言う。

「それ以外だと、例えば“ゴキブリ動き”。テレビを見ながらでも、CMの最中などに両腕をバタバタと振り、その場でドンドンと足踏みをするだけです。また、“ムダ家事”も良い。洗い物や窓拭きの際に手や腕を無駄に大きく動かすのです。部屋の中でスロージョギングをするのもお薦め。歩く速度と同程度か少し遅いペースで部屋の中でウロウロと動き回るだけで良いのです」

 落ち着きのない人だと思われようと、無駄に動く。それこそが自律神経の働きを高める秘訣なのだ。

週刊新潮 2018年4月19日号掲載

特集「『BMI25』から始める! 『糖質制限』しない『老けないダイエット術』」より

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