京都が頭を抱える「イノシシ」問題 市街地での出没増加

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 国内外からの観光客でごった返す春の京都に、“招かれざる客”が現れた――。

 3月31日午前、東山区の東福寺近くに親子2頭のイノシシが出没。突進や噛み付きで、老若男女5人に重軽傷を負わせたのである。

「事件当時、現場一帯はパニック状態となっていましたね」

 とは、地元紙記者。

「イノシシはかなり力があったらしく、駆け付けた男性が4人がかりで取り押さえようとしたのですが、暴れに暴れ、結局、取り逃がしてしまいました」

 もっとも、

「この近くには竹林があり、春になるとそこへタケノコを食べにくることはあったそうですが、こんなふうに人を襲ったとは聞いたことがないですね」(同)

 京都府全域のイノシシの生息数は、府が出している資料によれば、約6万頭とされている。

「ただこの数字はあくまで推計に過ぎません。実態はよくわかっていないというのがホンネです」

 と嘆くのは、府の担当者。

「というのもイノシシは多産で、短期間で個体数の変動が起きる種なんですよ。なので環境省もきちんとした調査をしていません」

 ただ、

「ひとつ言えるのは、捕獲頭数は確実に増加しているということです。1998年度では、3000頭ほどだったのですが……」(同)

 2015年度になると、

「1万3500頭も捕まっている。もっとも捕獲技術の向上などもあるかもしれませんが、それ以上に絶対数が増えているのは間違いないでしょう」(同)

 それでも、

「これまでは農産物への被害が中心で、人に危害を加えることはまれでした」(同)

 ところが、である。

「理由はわかりませんが、昨年あたりから、今回のように、市街地に顔を出すケースが増えてきたのです。今後は、住民や観光客への注意喚起なども含めて、イノシシ対策を講じて行かないといけませんね」(同)

 そう遠くない未来、牡丹鍋が京都名物の代表格になるかもしれない。

週刊新潮 2018年4月12日号掲載

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