それでもやりますか?寿命が縮む「糖質制限」 元祖提唱者の病歴

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「子供みたいなレベル」

 糖質制限の根幹を揺るがす実験結果であったため、こうして「全否定」せざるを得なかったのだろうが、

「マウスに人の食べ物を与えると、代謝が破綻して老化が進み短命になるという主張は明らかな間違いです」

 実験を行った東北大の都築准教授はそう語る。

「我々は昔からマウスを使った様々な実験をやってきました。その中で、ネズミの餌ではなく、人の食事を餌にしたものをマウスに与える実験もやっています。その結果はどうだったか。人の食事を摂ったマウスの方がネズミの餌を食べた方より、ほとんどの場合、長寿なのです」

『本当は怖い「糖質制限」』(祥伝社新書)の著者で「愛し野内科クリニック」院長の岡本卓氏も、

「江部さんの“マウスと人間は違う”という主張については、子供みたいなレベルで呆れてしまいます。あまりにもバカバカしい」

 と、一刀両断する。

「例えば、昨年12月、ラットに高脂質食を与えると認知機能が下がるという論文がオンライン・ジャーナル『Nature Communications』に掲載された。世界に目を向けると、ラットに高脂質食を与えた研究の結果が信頼性の高い科学誌で発表され、それが真面目に受け取られているだけではなく、大きな反響を得てもいるのです」

 加えて言えば、糖質制限を行うと寿命が縮まることは、今回のマウス実験で初めて立証されたわけではない。欧米では糖質制限をしている人としていない人の健康状態を長期間追跡する調査が何度も行われており、ほとんどの調査で「糖質制限を続けた方が短命」との結論が出ているのだ。

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