13名の命を奪った「地下鉄サリン事件」実行犯たちの今

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語られざる疑問

 13名は、それぞれがそれぞれのやり方で、この23年、事件と対峙してきた。ただ“1人”を除いて――。麻原は訴訟でも、確定後も真摯に口を開かず、東京拘置所の病舎で糞尿にまみれ、未だ「現実」から逃避したままである。

「これだけ月日が経っても、オウム事件にはまだわからないことがある」

 と言うのは、オウム真理教家族の会の代表として彼らと向き合ってきた、永岡弘行氏。

「麻原とは何度か会いましたが、この人はなぜここまで人を憎めるのか、なぜあそこまで人間を破壊する必要があったのか、わからないまま。説明の責務を果たさない麻原には、激しい怒りを感じます。他の死刑囚についても“なぜあのようなことが出来たのか”という点は、まだ十分に語られていない。これらの点について、彼らはしっかりと後世に伝えていくべきだと思います」

 この声が彼らに届くのか――。執行は間近。残された時間はもうあまりに少ない。

週刊新潮 2018年4月12日号掲載

短期集中連載「13階段に足をかけた『オウム死刑囚』13人の罪と罰」より

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