北島三郎次男、大原麗子も… 年間3万人「孤独死」の検証

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“事故物件”の処理方法

「孤独死の問題は、助けられた命が助けられないこともありますが、一番の問題は、命を救えない突然死に関して遺体の発見が遅れることです。死後3日以内に発見されることが望ましく、実際、3日以上経つと厳しい。4日ほどで遺体は黒ずんできます」(結城教授)

 大野さんも飯島も、3日以内には見つかっていない。特殊清掃「ロード」の鎌田爵宏代表が継いで言う。

「孤独死の現場に黒い液体の痕が“人型”に残っていることがあります。あれは人間の脂や血液や内臓が腐って溶けたものです。亡くなると、まず筋肉が緩んで糞尿が出て、その後、肛門や耳から血液がどんどん出てきて、腐敗が進むと人型になります。季節や状況にもよりますが、1週間も経つとウジやハエが湧く。こうなると腐敗がどんどん進み、2週間以上でいわゆる人型になります」

 ベッドなどの上で亡くなっていれば、寝具ごと搬出し、周囲に影響がおよばないこともあるそうだが、

「狭いトイレだと、血液や臭いがすべての面にかなり染みこんでしまう。フローリングや畳の場合は、体液や血液が床下まで染みこむことがほとんどで、木造住宅の場合、体液が天井から下の部屋に漏れるとか、床と階下の天井の間でウジやハエが発生し、下の部屋にウジが落ちることも。鉄筋コンクリート造りでも、亀裂からウジが階下に落ちてくることがあります」

 こうなると慣れない業者にはお手上げで、鎌田代表らの出番になるそうだ。

「酸性とアルカリ性の薬剤を使ったり、複合二酸化塩素という除菌剤を用いたり、オゾンで洗浄したり、それらを現場によって使いわける。何も知らない人が部屋に入ったとき臭いがしない、という状態にはもっていきます。分譲住宅の場合、家主が手放すことがほとんどで、どうすれば高く売却できるか、費用をどこまでかけるべきか、アドバイスさせていただきます」

 と自信を覗かせるが、要は孤独死が増えるほど、不動産に知られざる“事故物件”が混ざるということだ。たしかに「人間死んだら終わり」という意識でいては、死後、各方面に迷惑がかかってしまう。

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