70歳以上のファン垂涎 CDで売れる“ハイカラ”S盤アワー

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「“S盤アワー”とは、懐かしい。小中学生の頃、熱中して聴いていました」

 そう語るのは、作家の山口文憲さん(70)。3歳でヴァイオリンを始め、小学校にあがる頃は洋楽、特にアメリカン・ポップスに惑溺する日々だった。

「あの頃、日本では何といっても“歌謡曲”人気が高かったし、和製ポップスも台頭し始めていましたが、やはり一番カッコ良かったのはアメリカのヒット音楽。“S盤アワー”は、その香りを逸早く届けてくれるハイカララジオ番組でした」(同)

 そう。“S盤アワー”(1952〜69年、日本文化放送協会=現・文化放送)こそ、占領時代を終え、やがて高度経済成長へと向かおうとする旭日ニッポンの若者に、夜な夜な“アメリカ文化”の素晴らしさを教えた画期的な存在だった。今、この番組で取り上げられた名曲たちが「S盤アワーCD」として甦り、70歳以上のオールド・ファン垂涎の的となっている。

「その頃、ちょっとした都会の気の利いたレストランにはジュークボックスが入るようになりました。“S盤アワー”でお気に入りの曲をジュークボックスのシングル・レコードで聴くのがイカシタ男の子たちの流儀でした」(同)

“S盤”のSは、シングル・レコードの頭文字から来たわけではない。番組を提供した日本ビクターが、米RCA社のレコードを発売する際に規格番号の先頭に付けた“S”だった。

「それは知らなかった! 通販番組でよく見かけますね。ニール・セダカ『恋の日記』、ポール・アンカ『ダイアナ』、ハリー・ベラフォンテ『ダニー・ボーイ』。ヒット曲のベスト・アルバムですよね。僕も買うつもり」(同)

 陰のミリオンセラーというのも頷けます。

週刊新潮 2018年3月29日号掲載

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