拘置所衛生夫が見た「オウム麻原」の今 死刑執行まで秒読み

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“生気”なき麻原の姿

 すべての首謀者・麻原。彼は今回の移送に漏れ、東京拘置所に残されたままだ。その麻原の5年前の目撃証言がある。当時、東京拘置所の「病舎」で「衛生夫」として働いていた男性のものだ。

 彼が振り返って言う。

「『病舎』とは、HIV感染者や覚醒剤中毒者などが集められるフロア。ここの独房に麻原はいました。左右の部屋は空き室になり、さらにその入り口周辺は鍵付きのパーテーションで囲われていた。衛生夫はもちろん、刑務官でも勝手に入れない。麻原の姿を外部に漏らさない体制になっていました」

 この元衛生夫は、麻原不在の折に掃除を命じられ、何度かその独房に入ったことがあるという。

「本や置物など、生活感のあるものは一切ありませんでした。床には糞尿が散らばり、酷い臭いを放っていました。布団も毎日のように替えられていましたから、きっと毎日“お漏らし”をしていたのでしょう」

 一度だけ偶然、麻原の姿を目にしたこともあった。

「車椅子に乗せられてどこかへ移動する時のものでした。刑務官5〜6人に囲まれていましたが、髪も伸びたままで、事件当時よりは痩せていた。“生気”はまったく感じられず、ただ為されるがままに生きている、という印象でした」

 それが5年前。現在はより状況が“悪化”していることは想像に難くない。

(2)へつづく

週刊新潮 2018年3月29日号掲載

短期集中連載「13階段に足をかけた『オウム死刑囚』13人の罪と罰」より

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