拘置所衛生夫が見た「オウム麻原」の今 死刑執行まで秒読み

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“今年中に終わらせる”

 大阪拘置所の元刑務官・藤田公彦氏も言う。

「死刑というのは、準備がものすごく大変なんです。死刑囚を独房から連れ出す時だって、暴れるかもしれないし、自殺を図るかもしれないので、屈強な刑務官が廊下に5メートル置きに並んで不測の事態に備える。また、失敗は絶対に許されないので、絞首台がきちんと動くかどうか、事前の機械のチェックがものすごく厳しい。スイッチを押す刑務官の心理的負担も大きいのです。1日2人が限界。今回、移送したのも、同時執行に備え、全国に散らしたものと見て間違いないでしょう」

 現在、東京拘置所に残っている6名も、近く数名は追加で移送される可能性があると言うのである。

 となれば気になるのは、執行はいつ、どのように行われるか、ということだ。

 司法に詳しいジャーナリストが言う。

「13人まとめて、というのは、あまりに“大量処刑”感があり過ぎて難しいでしょう。もっとも現実的なのは、地下鉄サリン事件、松本サリン事件、坂本弁護士一家殺害事件など、事件ごとに死刑を執行していく方法です。ただ、地下鉄サリンだけでも10名が死刑確定していますから、一回では多過ぎる。これも複数回に分けるのではないでしょうか。はじめに麻原が執行されるのは間違いなく、同時に、関わった事件が2番目に多い中川や、関わった死者数が2番目の新実など数名を執行する。そしてその後は、残った数名を分けて断続的に行う、となるでしょう」

 時期についても、

「麻原の執行は明日行われてもおかしくない。来年は、5月に新天皇への代替わりが行われるなど“慶事の年”。平成の事件は平成で終わらせる、という観点から考えても、13人の執行は今年中に終わらせるのが常識的ではないでしょうか」(同)

 オウム真理教に関しては、殺人から微罪に至るまで数多の事件が立件された。中でも犠牲者が多かった坂本堤弁護士一家殺害事件(1989年)、松本サリン事件(1994年)、地下鉄サリン事件(1995年)は、「三大事件」と呼ばれ、凶悪性の象徴と語られている。

 13名中、三大事件すべてに関わり、死刑判決を受けた死刑囚は3名のみ。ひとりはもちろん麻原彰晃、そして残り2人は、中川智正と新実智光である。

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