プーチン再選へ“祝砲”か 毒を盛られた「元スパイ」

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 神経剤「ノビチョク」。旧ソ連が冷戦下で開発、あのVXより強い致死性を持つ。

「英のメイ首相が3月12日、ようやく毒物名を出して、ロシア関与の可能性を国会で明言しましたね」

 と話すのは、在英ジャーナリストの木村正人氏。

 3月4日午後、英南西部のソールズベリーで、ロシア軍の元大佐で軍情報総局(GRU)の要員だったセルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリアさん(33)が重体で発見された。さらに発見時の地元警察官も重体。神経剤による事件と推定され、捜査はすぐにロンドン警視庁の対テロ部門へ移管された。

「私も現地へ入りましたが、防護服の捜査員や応援の軍部隊が街の中心部のあちこちにいて騒然。本来は歴史ある小都市で、元スパイが隠棲するにうってつけの静かな土地ですが……」(同)

 スクリパリ氏は、英国情報部(SIS)(通称MI6)に自国スパイ網の情報を流した罪で服役。その後、米ロのスパイ交換で釈放され渡英、2010年から同地に居住していた。しかし、その後も妻や息子が不審死するなど不幸が続いた。

「今回、警察は妻と息子のお墓まで捜査していますが、2006年のリトビネンコ氏の暗殺事件を持ち出すまでもなく、裏切り者は許さないというロシアの意思表示。あの時、英政権は何もできず、それで今度も舐められたのです」(同)

 とはいえ、ロシアは3月18日に大統領選があった。大方の予想通りプーチンの圧勝に終わったが、なぜまたこの時期に……。

「新たな任期6年に向けて、情報組織の引き締めを図ったのでしょう」(同)

 英は6月からロシアで開催のW杯のボイコットも示唆。ここが踏ん張りどころだ。

週刊新潮 2018年3月22日号掲載

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