武術家が指南する長生き健康法――心と体が若返る「股関節ストレッチ」

ライフ週刊新潮 2018年3月15日号掲載

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ストレッチを実践

 では、歪んだ骨盤をどうやって矯正するか。まず肩幅より少し広く足を広げて立ち、骨盤に手を当てて5秒間、グーッと押し込みます(2)。押し込むのは、鏡の前に立ったとき腕と体が近いほうの骨盤です。記者さんなら右腰を左側に押し込みます。上半身を前後左右に傾けず、骨盤だけを反対側に押し込むのです。

 毎日、隙間時間にこのストレッチを行えば、骨盤の位置が少しずつ正常な位置に整い、腰痛や鬱々とした気分が改善されます。腰痛を患ってから病院に行っても、歪みを根本的に解決するのは難しい。ストレッチを通して、自分で体の歪みを治すのが一番です。

 もう一つの矯正方法は2人で行います。仰向けに寝て、長いほうの足を引っ張ってもらうのです。筋肉は引っ張ると元に戻ろうという作用が働くので、それを利用して、足をポンッと引っこ抜くように引っ張ります。このストレッチで足の長さは元に戻ります。

 加えれば、カバンなどは骨盤が寄っているのと反対の手で持つといい。記者さんなら左手です(3)。荷物を持つと、バランスをとるために体が荷物を持つ側に寄るからで、子供や大きな荷物を抱えるときも、同じ側を使うのがよいです。

 いま腸が注目されています。腸は第二の脳と言われ、自律神経と深く関わっているので、腸を支える骨盤がズレていて頭脳明晰な人は少ないのです。また体の各部は連動しているので、骨盤が歪んでいれば、バランスをとるために肩や首、あごなどにズレが生じ、ほかの部位にも不調を来たします。膝の痛みにせよ、骨盤や股関節の歪みと連動して起きているのです。

 ですからストレッチが重要で、それによって股関節や骨盤が整い、神経が解放されて表情が明るくなります。血色がよくなって肌もきれいになり、結果的に若々しく見える。骨盤を整えることは、心までさわやかになるアンチエイジングの方法なのです。

 私が考案した「骨盤職人」という、骨盤周りの筋肉をほぐす器具も紹介しましょう(4)。骨盤のすぐ下に木製の突起を当て、足を左右に揺らすと(5)、硬くなった筋肉がほぐれて骨盤の位置が正常に戻り、腰痛などが改善されます。阪神タイガースの選手は大抵持っているし、ダルビッシュ選手が所属していたテキサス・レンジャーズからも、10台の注文がありました。

 武術では「心技体」という言葉が使われます。実際、心のありようによって技術的、体力的な面が変化すると捉える人は多い。しかし逆に、体に技術を覚えさせて、脳や心でも動きを捉えられるようになる、という側面もあります。「好きこそ物の上手なれ」と言いますが、好きで一生懸命取り組んでいても、やる気が起きないことはある。こうしたとき、心と体と技術、すなわち心技体を結び付けるのが骨盤なのだ。私はそのように考えています。

(2)へつづく

倉本成春(くらもと・なりはる)
1950年、兵庫県出身。10歳で空手道場に入門、高2で二段を取得。阪神・淡路大震災後、東京を拠点に活動。武術の身体操作を応用し、2000年にクラモト整体療法院を開設、02年、倉本塾を開設して現在塾長。BUDO-STATION顧問。

特集「『武術家』3人が指南! 万病を遠ざける『究極の長生き健康法』」より

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