大雪で大停電寸前だった首都圏 使えない「太陽光」に血税を流した戦犯は

社会 週刊新潮 2018年3月1日号掲載

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使えない太陽光に血税を流した戦犯は誰か(上)

 太陽光発電は安全で環境にやさしい、と信じる人は、失礼ながら「おめでたい」。大寒波で太陽光パネルが雪に埋もれる間、首都圏は大停電の危機にあったのだ。

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「今年は“数十年に1度”という大寒波による影響で、暖房需要が異常なほど高まりました。私たちは“10年に1度”の寒波が訪れた際の電力需要を4960万キロワットと想定していて、その際には万全の対策がとれます。ところが今年は、電力需要がたびたび5000万キロワットを超えたのです」

 東京電力の広報室はそう言って、一つひとつの“危機”を振り返る。

「弊社が3年ぶりに他社からの電力融通を受けたのは、1月23日でした。冷え込みが厳しく、ダムの上から下に水を落とす揚水発電を日中に大量に行う必要が生じましたが、この発電は水をくみ上げるために電力を使う。このため、24日の日中に揚水発電を行うのに必要な電力を確保するため、23日の夜間に東北電力から140万キロワット、中部電力から30万キロワットの融通を受け、窮状を乗り切ったのです」

 だが、融通を受けたのはこの日に止まらなかった。

「結局、1月は23日から26日まで4日間、2月も1日、2日に電力融通を受けました。特に2月2日の需要は、1日時点で供給の99%と見込まれたほどの危機的状況で、2月の2日間は北海道、東北、中部、関西の各電力会社から計300万キロワットほどの融通を受けました。加えて、全国の火力発電所に指示を出し、規定の発電量の101%でフル稼働させたり、小売事業者からも買い増したりしたほか、本社のエレベーターの本数を間引くなど、厳しい対応を迫られました」

 それでも、電力は「間に合ったのだから」と、良しとするのか。あるいは、太陽光発電をはじめ再生可能エネルギーをさらに導入すれば補える、とでも言うのだろうか。

 上に記した状況がどれほど危険であったか。東京工業大学名誉教授の柏木孝夫氏によれば、

「予備率という言葉があります。電力会社が供給する電力の余裕度をあらわす数値で、これが3%を切ると、いつ停電になってもおかしくありません。今年は大寒波の影響で、東京電力は1月23日に、24日の予備率が1%になるという見通しを発表し、他社から電力の供給を受けました。その結果、予備率は3%を超えましたが、1月から2月に他社に何度も融通を要請したということは、もはや東電単体では、予備率を常に3%以上に保てなくなっているということです。夏場も3%に近くなることが常態化しており、大停電の一歩手前というケースが増えているのです」

 また、今回は他社から電力の融通を受けたほか、

「デマンドレスポンスが数回発動されました。これは電力会社が電力不足で困っているとき、提携会社が電力需要を抑制し、それを受けて電力会社がインセンティヴを支払うというシステム。今回、これが数回発動されたことからも、いかに危機的な事態であったかがわかります」(同)

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