大雪で大停電寸前だった首都圏 使えない「太陽光」に血税を流した戦犯は

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菅氏主導の天下の悪法

 この制度の問題点を、

「ほかの電力より割高なうえ、コストは国民が賦課金の形で支払わされています。月々に分割されていて気づきにくいですが、制度開始直後は年間負担額が684円だったのが、いまは8232円と、12倍に膨れ上がった。国民全体の負担額は今後、年間数兆円に達するとの試算もあります」

 と、電力関係者が指摘する。また奈良林氏は、

「当時の菅直人総理とソフトバンクの孫正義社長の打ち合わせを通して作られた、天下の悪法です」

 と一刀両断し、続ける。

「当時、孫氏は菅総理を持ち上げ、脱原発を煽っていました。震災直後に広がった“原発憎し”の世論を背景に、超党派の議員が法成立を求めて署名する動きもあって、深い議論がなされずに法案が可決されてしまった印象です。1キロワット時42円でスタートし、いまは28円ですが、太陽光発電の世界的な買取相場は10円以下。最近は中国製の安価なパネルが登場し、事業者のコストは大幅に下がっているのに販売価格は一定なので、投資家や事業者には非常に利回りのいい商売で、彼らが国民を搾取する状況になっています」

 結果として電気料金が高騰すると、また別の問題も起きてくる。

「たとえば鋳物、ガラス、製鉄などの企業は、以前は原発による深夜の割安な電力を使ってきました。ところが、電気料金の値上げで大打撃を受け、倒産や海外移転の例が相次いでいます。産業の空洞化が進み、日本の国際競争力も下がってしまいます」(同)

(下)へつづく

週刊新潮 2018年3月1日号掲載

特集「首都圏は『大停電』寸前だった! 大雪で使えない太陽光に血税を流した戦犯は誰か」より

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