大雪で大停電寸前だった首都圏 使えない「太陽光」に血税を流した戦犯は

社会週刊新潮 2018年3月1日号掲載

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不整脈のようなもの

 むろん、電力の逼迫は異常な寒波の影響だが、予期せぬ事態も起きていた。

「弊社は晴れの日のピーク時間で全体の15%ほど、約800万キロワットを太陽光発電で賄っていますが、太陽光パネルに雪が積もって数日間溶けず、発電ができませんでした。そこを補うべく、揚水発電をフル稼働しましたが、そうすると翌日使う水がなくなって、他社からの融通が必要となりました。茨城県鹿島と福島県広野の二つの火力発電所が、トラブルで機能しなかった影響も大きかったです」

 ふたたび東電広報室の嘆き節だが、それに同情したり、あるいは非難したりする余裕は、われわれにはないはずだ。なぜなら、その結果、危機的な状況に置かれているのは、われわれ自身だからである。

 東京工業大学の澤田哲生助教は、この電力危機に、

「読売新聞以外は大きく扱わず、世間的には話題になりませんでしたが、潜在的な危機が依然として存在するのに、国民がその情報を受けとれていないのは、大きな問題です」

 と危機感を募らせ、北海道大学特任教授の奈良林直氏も、

「今回は電力融通によって事なきを得ましたが、もし停電していたら、病院の生命維持装置、手術、人工透析、保育器などがすべてストップしてしまいます。病院の予備電源は7、8時間分しかなく、停電がそれ以上続くと、人命に関わる事態になってしまいます」

 と、こう警告する。

「今回も仮にどこかの発電所が1カ所でも止まったり、送電線が切れてしまったりしたら、停電になっていた可能性は十分ある。それほど綱渡りの電力状況なのです。2003年に北米で起きた広域大停電は、送電会社のシステムダウンなどが原因で、ニューヨークからカナダ南東部にかけて約2日間、停電になりました。日本でも同様の、いや、もっとひどい事態にならないともかぎりません」

 奈良林氏は、リスクを回避するために一定量の原子力発電はやむを得ず、

「原発を稼働するリスクもありますが、それよりも停電で命が失われるリスクのほうが大きい」

 と主張するが、それについては(下)で検証する。まずは、太陽光発電が機能しなかった問題を掘り下げておきたい。

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