語っているようで沈黙を選んでいる 異色のヒロイン石原さとみ「アンナチュラル」第6話

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「逃げるは恥だが役に立つ」(2016)で知られる野木亜紀子が手がける法医学ミステリー「アンナチュラル」。放送開始後、そのテンポの良さ、構成の巧みさで多くのファンを獲得している。

 物語は、架空の国立機関「不自然死究明研究所(UDIラボ)」が舞台。法医解剖医・三澄ミコト(石原さとみ)、臨床検査技師の東海林夕子(市川実日子)、所長の神倉保夫(松重豊)ら、死因究明専門のスペシャリストたちが活躍する。ラボのメンバーでひときわ異彩を放つ、冷徹だが優秀な中堂系(井浦新)、バイトの医学生、久部六郎(窪田正孝)ら魅力的な俳優陣が揃う。

 第6話は、東海林にスポットが当たり、物語が展開した。ミコトとは対照的に、日々貪欲に男女の出会いを求めて異性間交友(合コン)にいそしむ東海林が、薬を盛られてホテルのベッドで目を覚ましたところ、隣に寝ていた権田原(岩永洋昭)が死んでいたのだ。

 東海林をめぐるストーリー展開は一貫してコミカルですらある。UDIラボに聴取に来た刑事から逃れるため、机の下を這いつくばって脱出するシーンはまるで漫画チックで、思わず笑ってしまった。そんな感じでホンマに警察から逃げられるのかいな、と……。だが、そのコミカルさの奥にあぶり出された現代的な問題意識にこそ、注目したい。

 死んだ権田原らは、大学時代に、サークル仲間として集団強姦を繰り返しながら逃げおおせ、社会的に華やかな仕事に就いている。そんな男たちがどのように裁かれるか。彼らは卒業後もグルになって暗号通貨取引詐欺をおこなっていたが、結局は、高級ジム経営をしているメンバーのひとりが、金の持ち逃げを企てて権田原ら、仲間たちを殺害しようとしていたことが明らかになる。

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