純朴な“泉澤祐希”が見せた狂気! 石原さとみ主演「アンナチュラル」第5話

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久部とミコトの関係のゆくえ

 さて、ミコトと中堂の秘密調査には、久部も無理やり動員されていた。中堂の自宅からエプロン姿で出てきたミコトを見て「そこまでの関係……?」と勘違いし、動揺する久部。第4話あたりから明らかに久部は、タフでブレないミコトに惹かれつつある。ミコトと中堂は、ただ2人でプランクトンの数を比較していただけだと知り「なるほど」と安心していた久部は、はっきり言って、めちゃくちゃ可愛かった。かつて「逃げ恥」で「ムズキュン」という言葉を社会にひろめた野木の、新しい「ムズキュン」スタイルが、密かに久部とミコトの間で展開されようとしている……。

 しかし久部は週刊ジャーナルとUDIラボのバイトを掛け持ちするスパイだ。だが、ジャーナリスト末次(池田鉄洋)の、大衆的で俗っぽいネタを拾ってこいという命令に、徐々に久部はうんざりしている。逮捕された巧の写真をこっそり撮影し、編集部に持ち込んだ久部ではあるが、末次からのボーナスである1万円札の束には手をつけずに編集部を出ていってしまった。将来の目標もないまま、ただ軽い気持ちでバイトに潜り込んだ久部の、独自の正義感にいよいよ火が付く予感がする。

 久部はラボの中で、ミコトが一家心中の生き残りであるという事実を唯一知っている人間だ。ミコトはそのことを知らない。2人のアンバランスな関係性は今後どうなるのだろう。シリアスな展開に挿入される、久部の揺れる心の描写は、これからも見逃せない。

 ラストシーン、ミコトはついに中堂に「UDIラボを辞めてください」と迫った。「誰に何を言われようと辞めるわけにはいかない」と吐き捨てる中堂にミコトは、彼のかつての恋人の話をぶつけ「早く解決して永遠の問いに決着つけましょうよ」と真っ向から挑む。「同情なんてしない、絶対に」という彼女の言葉。それは「同情なんかされたくない」がため、過去を隠して生きてきたミコトの、強い意思表明だった。しかし、中堂に選択を突きつけた以上、ミコトもいずれ自分の過去と向き合わなければならないだろう。その時が来るのを、今はただ見守るのみである。

(西野由季子)

2018年2月16日掲載

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