世界的画家・千住博が訴えられていた ギャラリーから「11億円返せ」

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“飼い犬に手”

 作家と画廊は、手を取り合って互いの価値を高め合っていくもの。両者が訴訟にまで拗(こじ)れるのは稀なケースと言える。その亀裂の深さを示すように、原告はこんなことまで主張していた。

「『千住から、送迎用にとシルバーのセンチュリーを要求されて、購入した』『妹の真理子がストラディヴァリウスを買う際、2000万円を援助した』『千住の母親が手術をした後、頼まれて半年間、社員が看護を行った』などなど。まるでタカられたと言わんばかりです。もちろん千住はこれらを全否定。陳述書では、“飼い犬に手を噛まれたような気持ち”と吐露しました」

 困惑の体アリアリといった様子が伝わってくるのだ。

 当のホワイトストーンに取材を申し込むと、

「お答えできません」

 と、訴訟での威勢の良さは少しも感じられない回答。

 一方の千住氏は、

「(原告側は)荒唐無稽な主張が多く、全くの言いがかりにすぎません。当方の主張が裁判所に認められると確信しています」

 とファイティングポーズを見せる。

「ホワイトストーンは、10年ほど前、経営者が脱税で実刑を食らうなど、毀誉褒貶のある画廊」(前出・ライター)

 芸術の世界とはいえ、所詮人間の営みである。やはり富と名声の傍には、トラブルが付き物ということか。

週刊新潮 2018年2月15日号掲載

ワイド特集「雪にかいた『告発状』」より

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