「働き方改革」を勘違い、上司から“ジタハラ” キリギリス栄えてアリ滅ぶ日本に

政治週刊新潮 2018年2月1日号掲載

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心ある大人がため息をつく「働き方改革」(下)

 安倍内閣が打ち出す「働き方改革」に、現場からは大きな“嘆き”の声が……。 「改革」を“応援”するマスコミの世界も、“美しく”様変わりしつつある。

「うちではルーティンの夜討ち朝駆けを止めるように、と方針を出しました」

 とは、日本経済新聞の関係者。夜討ち朝駆けとは、政治家や捜査関係者の自宅を早朝や深夜に訪問して、機微に触れる情報を聞き出すこと。ネタ取りの基本であり、濃密な人間関係を築くことが前提だが、

「どうしても行く場合は、朝と夜行く担当者を変えるように、と。また、わざわざ行かなくても、メールや電話でネタを取れる関係を作っておけ、と。もちろん正論ですが、現実には、スクープがメールでもらえるワケがないので、まだ夜討ちも朝駆けもしています」

 と言うのである。

「また、特ダネより、締め切りを重視しろ、という指令も来ます。あるいは、ネタを取った場合は、紙面より電子版で、と」

 朝日新聞は、毎週水曜日などを「ノー残業デー」としているし、昨年、佐戸未和さんの過労死が発覚したNHKはこんな具合だ。

「前月の勤務時間が長いと、注意しろよ、と言われる。だから夜討ち朝駆けをセーブするのですが、一方でパフォーマンスは落とすな、と。どうすれば良いんだ、という感じ。何もない時に無駄に回るからこそ大事な時にネタをもらえる。ネタが欲しい時だけ行く、というのでは、ビジネスライク過ぎて信頼を得られません」(社会部記者)

 取材というのは、本来、非合理なもの。そこへ効率アップという合理的なメスを入れようとするから、現場はアタフタするのである。

 そのNHKは、最近、労務管理の徹底のため、記者が出退勤時にスマホで打刻する制度の試験的導入を検討しているという。

「でもスマホを繋げば、GPSで記者が最後にどこに取材に行ったか、会社に把握されることになるんです。場所によってはネタ元が特定されてしまうから、相手も取材を拒みたくなるでしょう。現場からの反対が強かったため、取材先とは別のところで打刻して良いことになりましたが……」(同)

 何とも珍妙な騒動である。

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