会議で一目置かれるには「アメトーーク!」に学べ 東大卒コンサルが伝授

仕事術2018年2月4日掲載

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 2003年に放送開始し、深夜にもかかわらず、平均視聴率10%を獲得している「アメトーーク!」(テレビ朝日系)。2016年10月16日からは“日曜もアメトーーク”も、平行して放送されている。言うまでもなく、そのメイン企画は、「○○芸人」シリーズ。「家電芸人」「広島カープ芸人」「中学の時イケてないグループに属していた芸人」など、共通の特性を持つ芸人が集まって悩みを語り合ったり、マニアックな知識を披露し、話題を呼んできた。そんな「アメトーーク!」の構成は、ただ面白いだけではなく、実はハーバードビジネススクールと通じるところがあると、東大を卒業後、NHKや外資系のテレビ局で経営や編成に携わってきたコンサルタントの佐藤智恵さんは、著書『テレビの秘密』で分析している。(以下、同書より抜粋)

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「アメトーーク!」(テレビ朝日系)を見ていていつも思うこと。それは「ハーバードの授業と似ているな」です。「アメトーーク!」とハーバードビジネススクール(以下、ハーバード)の授業。片や深夜番組の王様で、片や世界最高峰の経営学の授業ですが、実は共通点がとても多いのです。
 ハーバードの授業に参加するということは、「アメトーーク!」の雛壇でトークをするのにとても似ているのです。

「雛壇」番組が持つ、2つの意図

「アメトーーク!」はいわゆる雛壇トーク番組の元祖。雛壇とは階段状になっているゲスト席のこと。今、業界で普通に使われている「雛壇」、「雛壇芸人」という言葉も、この番組から生まれたと記憶しています。
 現在、多くのバラエティ番組で、「雛壇」が使われていますが、その使用目的には2つあります。

(1)セットとしての雛壇
(2)主役としての雛壇

(1)は、簡単に言ってしまうと、「ゴールデン番組で画面が寂しいのもなんだから、とりあえず誰か並べておこう」という発想から設けられる雛壇。VTR中心の番組なのに、やたらとスタジオに人がいる場合は、人がセットになっているのです。ここに呼ばれた人の中には、一言も話さない(放送されない)人もいます。
(2)の代表格は、もちろん「アメトーーク!」。雛壇に座っている芸人さん全員が主役です。VTRも最小限。60分間、ほとんどがトークです。実際、トークだけで1時間持たせるというのは大変ですが、そこに加地倫三ゼネラルプロデューサーを中心としたスタッフの戦略と創意工夫があります。

 加地さんの著書『たくらむ技術』(新潮新書)によれば、「アメトーーク!」はテーマの設定、キャスティング、芸人さんの座る位置、トークの進行に至るまで、すべて計算されているそうです。
 ハーバードの授業でも、雛壇に座っている90人の学生が主役。教授は司会=雨上がり決死隊の役割を担います。「アメトーーク!」とは違って座席は決まっていますが、ひとつのテーマで80分間、ひたすらトークするのは同じ。きょうのテーマだったら、この学生をあてよう、この学生ならこう反論するだろう、と教授がプロデューサーさながらにキャスティングを決めていきます。
「アメトーーク!」もハーバードの授業も、“雛壇に座っている人たちの意見を最大限に引き出し、トークを盛り上げる”ことを主眼としています。

雛壇芸人から学ぶ、「発言してナンボ」

「アメトーーク!」の出演者から学べるのは、自分の役割を理解して、議論に積極的に参加していく姿勢。出川哲朗さん、関根勤さん、有吉弘行さん、山崎弘也さん(アンタッチャブル)、高橋茂雄さん(サバンナ)とおなじみのメンバーを思い浮かべてみても、全員違う役割を担っているのがわかります。ハーバードの授業でも同じで、たとえば、日本人学生は、日本の話題が出たら、張り切って発言しなくてはなりません。なぜなら、そこで専門家としての話をしてもらうために入学させているからです。
 この「アメトーーク!」のトーク手法は、会社の会議でも役に立ちます。「自分はこの会議でどういう役割を果たせばいいか」と考えて話すと、「出来るヤツ」と評価され、周りから一目置かれるようになります。それが仮に出川さんのような役目であっても、何も話さないよりはずっとマシ。
 日本企業の会議には一言も話さない人が参加していたりしますが、欧米企業では、会議で話さない人は減点。「アメトーーク!」流(ハーバード流)でどんどん発言したほうがいいのです。
「アメトーーク!」もハーバードの授業も、主眼に置いているのは「出演者(学生)を最大限に生かす」「出演者(学生)を育てる」「視聴者(学生)を楽しませる」こと。出演者も視聴者も大事に扱いながら番組や授業を構成しているため、トークだけなのに十分面白いのです。

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 自分は「アメトーーク!」の、どの常連メンバーの役割を担うのか、考えながら見ると、また違った楽しみ方ができるかも。

デイリー新潮編集部