「平均寿命」は並でも「健康寿命」は日本一! 最強の健康長寿「山梨県」

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山梨県の食文化

 この意味深な「仲間」の存在については、おいおい確認するとしよう。自信なげな県は、どうとらえているのだろうか。再び県健康増進課に聞くと、

「人口当たりの保健師の数がずっと全国一で、いまも3番目です。特に甲州市や南部町は保健師の活動が評価され、健診率も高い。図書館や公民館の数も多いし、地域の支え合いも要因でしょう。高齢者の就業率も全国2位で、畑で働く人が多い。1日の食事時間が一番長いのも山梨ですね」

 なにやら取り留めのない話である。山梨県立大学看護学部の小田切陽一教授に補ってもらう。

「平成の大合併以前、山梨には64市町村があり、自治体単位で保健師を配置していた名残で、いまも多いのです。医療過疎のような地域では高齢者は自立せざるをえず、保健師による疾病予防のための生活改善指導などが大事でした。いまも山梨では、保健師が地域のコミュニティに入って活動しています。また、図書館の利用者が多いように、高齢者が学ぶ姿勢も強い」

 保健師については(下)で後述するとして、食生活はどうか。

「海がないので魚介への憧れは大きい。野菜や果物は自分たちで手に入れられるから、結果として食のバランスがいいと思います」

 山梨の農業といえば、ぶどうと桃。ともに消費量も生産量も全国でダントツだ。ワインも生産量が1位で消費量は2位である。

「シーズンにはぶどうは毎日1房、桃も1日1玉食べます。ワインは毎日、2合くらい飲んでいますね」

 そう答えるのは甲州市勝沼の74歳の男性。桃農家の70歳の男性も、

「桃はピークに1日10個は食べます。ぶどうは1房。父は94歳まで生きましたが、農業で年中動いているからいいのでしょう」

 食べて動いて健康、といいうことか。山梨県に店舗が多いスーパー「ザ・ビッグ」にも聞いた。

「山梨では、そもそも生産者にお裾分けしてもらう人が多いみたい。ワインは他県の1・2〜1・5倍ほど売れます」

 山縣教授の見解では、

「ワインは適量ならいいし、ポリフェノールは動脈硬化を防ぐ。果物もカリウムが摂取でき、その結果、塩化ナトリウムを排出できるのがいい。糖分が多いので摂りすぎに注意ですが」

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