あなたはまだ「滋賀県」を知らない 「100歳以上」2人「90歳以上」10人超の長寿村

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あなたはまだ「滋賀県」を知らない(下)

 厚生労働省が発表した5年ぶりの都道府県別平均寿命において、男性の平均寿命で滋賀県がトップに躍り出た。これは1990年からトップを独走していた長野県を抜いての快挙。女性は4位だが、1位の長野県とは僅差だった。滋賀県男性の脳血管疾患による死亡率は全国一低く、また、がんによる死亡率の低さも1、2を争う。あなたはまだ「滋賀県」を知らない――食に注目した前回につづき、今回は日常の行動について迫る。

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 厚労省による2016年の国民健康・栄養調査で、男性の喫煙率が最も低かったのも滋賀県だ。

「喫煙率の低さと長寿との関係は、医学的にはっきり認められています」(秋津医院の秋津壽男院長)

 ほかにも滋賀は、健康に結びつきそうなデータに事欠かない。ボランティア活動の年間行動者率1位、旅行・行楽の年間行動者率5位、スポーツの年間行動者率4位。図書館の貸出し数日本一、なんていうのも。

「ボランティアは認知症予防に深く関わっていると思う。人のために体と頭を使うと脳が活性化し、認知予備力が高まります。認知予備力が高ければ、アルツハイマーの原因のアミロイドβが溜まってきても認知症になりにくいのです。また、脳の神経伝達物質ドーパミンの分泌も促されます」

 おくむらクリニックの奥村歩院長はそう語り、さらに読書についても、

「面白そうな本に出会えたワクワク感が脳にいい作用をもたらします。図書館に行くなど手間暇かけて情報にアクセスすることも、脳の老化対策になります」

 スポーツについて、滋賀県県民生活部スポーツ局に尋ねると、

「気候が穏やかで湖も山もある自然環境が影響しているのかもしれません。県は、自転車で琵琶湖を一周するビワイチの普及に力を入れています。2016年度は7万2000人が参加し、26%が県内の人でした」

 元滋賀県知事で「栗東100歳大学」の発起人、國松善次氏(79)が言う。

「母が104歳まで生きたのは、毎日運動していたことも大きいと思う。97、98歳まで自転車で出かけていて、危ないからやめてもらった代わりに、私が出すハガキをポストに投函し、途中で神社やお寺に寄って長めに歩いてもらっていました。母はそれを103歳まで続け、“自分にも役割がある”ことが生きがいにつながったと思う。私も毎朝のラジオ体操のほか、エレベーターやエスカレーターは使わず、電車で座らないことを徹底しています。お金を使わんでも体は鍛えられます。先日は京都の知恩院まで32キロ歩きました」

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