居酒屋業界の「2018年勝利の方程式」は「150分3500円」の飲み放題コース

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庶民の財布は依然としてデフレ

 多くの人がご存じだろうが、これまでチェーン居酒屋は「飲み放題付きのコース料理で4000円、120分の時間制限」が最もポピュラーだった。それを串屋横丁は500円安くして、30分延長したことになる。この「ちょっとしたお得感」は馬鹿にならない。多くの顧客を引き付ける要素になり得るのだ。

「平日の1次会は、どうしても遅刻してしまう参加者が出ます。例えば、30分遅刻して1時間半しかいられなかった場合、『これで4000円は高いなあ』と思うでしょう。串屋横丁なら、30分遅刻しても2時間しっかり飲み食いできます。おまけに料金も3500円ですから、『これは安い。また来よう』と喜ぶ。その後も少人数で利用したり、1人で飲んだりと、私のような“リピーター”というよりは“ヘビーユーザー”を生み出す素地になっています」(前出の千葉氏)

 千葉氏は比較対象として「塚田農場」(株式会社エー・ピーカンパニー)を挙げる。同店は「少しだけ高級路線」で収益を伸ばしてきた。しかし近年は客数の減少に悩み、店舗業務の効率化などで利益を改善。黒字転換を成し遂げている。

「塚田農場は味だけでなくサービスも素晴らしい。突出しのキャベツやキュウリ、鳥料理を残していると、すかさず従業員が気づき、それを炒めたりして新しい一品料理にしてくれる。チェーン店でありながら、小料理屋のようなきめ細かい接客なんです。では宴会はどうかと言うと、一部の店舗で例外的に1人3500円を用意しているようですが、基本は伝統的な『飲み放題付きで4000円税込、120分制限』からになります」(同・千葉氏)

 たとえ美味しい料理に、気分のいい接客でも、「顧客満足」から離れているのではないか。結局のところ、まだまだ庶民の懐は厳しいということに行きつく。

「株価は高値を続け、一応は好景気だそうです。塚田農場が躍進を続けていた時には『外食産業の節目が変わった。これからは質重視で、客単価を上げたほうが成功する』との分析も目立ちました。しかし結局のところ、庶民は依然としてデフレ基調なのです。チェーン居酒屋は特に他社のヒットに敏感です。今年2018年から『150分飲み放題つき、コース料理3500円』を巡って激しい競争が繰り広げられるのではないでしょうか」

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