「JR貨物」上場に期待? 「佐川急便」好スタートで

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JR九州に続け

 今年9月には、北海道でアサヒビールなど4社がJR貨物を利用してビール類の共同配送を始めている。業績好転の2つ目の理由は、4年前に日本貨物航空の社長からJR貨物へ転身した石田忠正会長(72)の存在だ。

「日本郵船出身の石田さんは、日本貨物航空時代に徹底したコスト削減で初の黒字化に成功しました。JR貨物でも、赤字の貨物列車を廃止するなどコスト削減を推進しました。その一方で“お役所体質”だった社員の意識を変えるために研修制度を変えて、社員のアイデアを吸い上げている。ビールの共同配送も、その1つだといわれています」(同)

 実は、2年前に当時の国交省事務次官が“JR貨物は16年度に鉄道事業を黒字化し、18年度にはJR九州に続いて上場を目指せ”とハッパをかけていたのだ。その叱咤激励に結果を出した石田氏だが、JR貨物は黒字経営を続けられるのか。ある鉄道ジャーナリストが指摘するには、

「自前路線がほとんどないJR貨物は、鉄道会社からレールを借りて運行しています。今は特例で線路使用料は安く済んでいるが、上場すればアップするのは確実。また、鉄道会社は自社のダイヤを優先するので、JR貨物は思うように増便できないジレンマがある。安定した経営を目指すには、この2つの課題をクリアしなければならないでしょう」

 証券業界で、戌年を表す言葉は「笑い」。果たして、JR貨物は証券マンたちを笑顔にすることはできるか。

週刊新潮 2017年12月28日号掲載

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