箱根駅伝に13年ぶり東大生 紆余曲折の道のり

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 13年ぶりに東大生が新春の箱根路を走る。

 といっても、東大がチームとして襷(たすき)を繋ぐわけではない。東大工学部化学生命工学科3年の近藤秀一クンが“関東学生連合チーム”の一員として走るのだ。

「彼は静岡県出身。青学のエース・下田裕太(4年)は同郷の同学年で、中高時代は抜きつ抜かれつの良きライバルだったそうです」

 と大手紙陸上記者が語る。

「進学校の韮山高校に在籍していた彼は、箱根常連校のラブコールを蹴って、東大を受験し、一浪後に理科二類に合格しました。浪人時代は毎日10時間勉強しながら20キロの走り込みを欠かさなかったそうです」

 箱根駅伝は、10位以内なら翌年のシード権を得るが、それ以外の大学は10月に行う予選会で10位以内に入る必要がある。予選会は全選手が20キロを同時に走り、各校上位10人の合計タイムで出場10校を決める。そして出場を逃した大学の上位16人が学連チームに選ばれる。

「近藤は1年生で選ばれていますが、そのときの予選会は11番目。箱根は10区しかないので補欠でした」

 そして2年次、つまり前回大会。近藤にとってはあまりに酷なことが起きた。

「予選会で10番目となり、例年なら無条件で箱根を走れるはずが、レース後に学連の監督が“16人で再度1万メートルの記録会を行う”とルール変更。近藤はその記録会で失速し、また補欠になってしまったのです」

 次、頑張れよ……と慰めたいところだが、内規では“学連チームは補欠を含め2回まで”。つまり、この段階で彼の箱根への道は閉ざされたかに見えた。が、

「さすがに“この内規はおかしい”ということになり、今年から“本戦出走経験のない選手を選ぶ”に改正されました。近藤の救済のためといっても過言ではありません」

 そして今回、彼は予選会と記録会の合計タイムでトップとなり、主将にも抜擢。自身が希望する1区を走ることが確実になった。

 つづら折りの果てに立つスタート地点。もちろんレースはこれからである。

週刊新潮 2017年12月7日号掲載

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