2600年までに地球は火の玉に――「ホーキング博士」の警告は本当か

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月まで6秒

 プロジェクトへの資金集めのために博士自身が“人類滅亡”の話題を持ち出したという感もあるが、探査計画とは、どんなものなのか。

「ブレイクスルー・スターショット」計画とは、4・3光年離れたケンタウルス座α星に、一辺が数メートルの帆を張った数グラムの探査機を送るというもの。地上からの強力なレーザー照射によって推進力を得ると、光の20%の速度で月までは6秒、α星にも20年で到達可能だ。

 宇宙流体力学に詳しい大阪教育大学の福江純教授が言う。

「計画自体は、理論上、可能とされています。帆、レーザーの実用化、チップの小型化などは困難ですが、お金を掛ければ、20年程で開発可能ではないでしょうか」

 だが、仮に数グラムの探査機が完成して惑星を見つけたとしても、人間を乗せるとなると話は変わってくる。

「20年間移動するための食糧や宇宙船の製造など、課題は沢山あります。なによりも重さが問題。レーザーを高出力にし、帆のサイズや強度も増す必要がありますが、この先、相当な技術革新がなされなければ実現することはできないと思われます」(同)

 となると、600年後に人類は滅亡することになるが、中部大学総合工学研究所の武田邦彦特任教授は、

「ホーキング博士は物理学者として優秀ですが、生物学を知らないんですよ。人口爆発に関する主な予測は18世紀末から3回なされていますが、いずれもハズれている。未来の技術や社会制度などは予想できないので、その時点での状況が続くと仮定して結論を出すからです」

 そして、こう続けるのだ。

「現在、アフリカの人口が増え続けていますが、先進国のレベルまで社会水準が達すれば止まるはず。理由は、成長するためには人手が必要ですが、紛争や病気の心配が減れば、子を産む必要がなくなる。だから、博士の言うように、現在の比率で人口が伸び続けることは有り得ないのです」

 600年後がどうなるか、結果は知る由もないが……。

週刊新潮 2017年11月23日号掲載

ワイド特集「あたらしいぞわたしは」より

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