パラダイス文書で露見「英王室」財産とわが「皇室」の差

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 租税回避地・バミューダ諸島。そこを本拠とする法律事務所などから漏れた、いわゆる「パラダイス文書」が世界を揺るがしている。

「国際調査報道ジャーナリスト連合が、11月5日に文書の分析結果を世界中で一斉に報道。米のロス商務長官やF1レーサーのハミルトンなど、世界の要人、著名人の名前が並びましたが、やはり目をひいたのはエリザベス女王です」

 というのは、在ロンドンのジャーナリスト。

「女王が約15億円をオフショア投資していたと、こちらでは大騒ぎです。オフショアがイコール不正ではないですし、英王室は世界有数の金持ち。それを考えれば、じつは微々たる額なのですが……」

 もっとも、バッキンガム宮殿などの城館や王室領の大半は、特殊法人の「クラウンエステート」が管理。総額1兆円ともされるが公的性格が強く、女王でもこれを勝手には動かせない。

「ところが、歴史的経緯から公私の“私”の範囲も広い。英国の王位継承者は、同時にランカスター公の爵位も継ぐ伝統なのですが、その広大な領地は私的財産とされ、約750億円の価値があると言われます」(同)

 オフショア投資の原資もここから。今回、チャールズ皇太子の投資も発覚したが、これも皇太子位に伴うコーンウォール公爵領の収益が原資で、なんと資産価値は約1300億円だ。

 一転、ここで気になるのがわが皇室なのだが……。

「天皇陛下や皇太子殿下に保有不動産はありません」

 と断言するのは、ある宮内庁担当記者。

 皇室にまつわる不動産には皇居や御用邸に鴨場まであるが、全ては〈皇室用財産〉という名の国有財産。だが、私的な支出を賄うお金も必要なはずだ。

「そのために〈内廷費〉という予算が毎年約3億円組まれています。ただ、私的にごく身近なお世話をする人たちの人件費などもここからの支出。残ったお金は貯蓄も可能ですが、昭和天皇の遺産相続に関して宮内庁が公表した数字が約20億円。今上陛下の資産もこれと前後するはずです。多くは預貯金で、株や債券なども少しあるそうですが、オフショア投資などはちょっと有り得ませんね」(同)

 彼の国に比して“清貧”が目立つわが皇室だった。

週刊新潮 2017年11月23日号掲載

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