史上最高額「510億円」のダ・ヴィンチ「幻の作品」で「367億円」儲けた男の正体

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65×45=510億円

 65センチ×45センチといえば、新聞の片面を一回り大きくした程度だが、たかだかそのサイズの絵が510億円! 

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「モナリザ」や「最後の晩餐」で知られる、イタリア・ルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519)が1500年頃に描いたという「サルバトール・ムンディ(救世主)」が、11月15日(日本時間で16日午前)にニューヨークのクリスティーズで競売にかけられ、美術品では史上最高額となる4億5030万ドル(およそ510億円)の値を付けた。手数料などを差し引いても4億ドル(およそ450億円)という。
 
 落札者は不明だが、この額である。一部ではファンド関係が転売目的で落としたのではないかとも言われている。

 ともあれ、いったい一番得をしたのは誰だろうか。

「サルバトール・ムンディ」は現存する20点に満たないダ・ヴィンチ絵画のうち、個人が所有する唯一の作品。今後オークションにかけられることはないだろうと、“最後のダ・ヴィンチ”とも“男性版モナリザ”とも称される肖像画だ。モデルはキリストで、青い服を纏って正面を向き、左手に水晶玉を持ち、右手は2本の指を立てて祝福の印を結んでいる。

 この“最後のダ・ヴィンチ”、多くが〈英国王チャールズ1世が所有していたが、その後、所在が分からなくなり、2005年に存在が確認された〉とあっさり報じられているのだが、「ダ・ヴィンチ・コード」さながら、謎いっぱいの歴史がある。

 ときは江戸時代初期、小説では「三銃士」(アレクサンドル・デュマ)に描かれた17世紀はじめ、ところはイギリスである。英国王で絵画の蒐集家としても知られるチャールズ1世(1600~1649)が、このダ・ヴィンチを所有していたという記録が残っているという。フランスから嫁いだ妻ヘンリエッタ・マリアが英国に持ち込み、寝室に飾っていたと考えられているとか。

 しかし、チャールズ1世はイングランド内戦(清教徒革命)に破れて公開処刑されてしまう。王位とともにダ・ヴィンチを引き継いだのが嫡男チャールズ2世(1630~1685)だった。その後バッキンガム公の庶子であるチャールズ・ヒューバート・シェッツフィードの手に渡り、1763年に売却されてしまったのだ。

 以来、ダ・ヴィンチは長く行方不明に。

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