男女格差「国別ランキング」で日本「114位」の「ちーがーうーだーろー!」

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欧米を基準にして、アジアや中東を“断罪”した可能性

 痛ましい歴史の結果として編み出された政策に対し、数字だけを取り出して「ルワンダは男女平等な国です」と宣伝されても説得力は感じられない。実際、現地は男尊女卑の慣習が残っているという指摘もある。

 極論すれば、豊かな国で女性のライフスタイルは多様だ。江戸時代の農村では誰もが働いていた。男女格差は小さかったに違いない。先進国として成熟していくにつれ、「専門学校を出てパティシエとして活躍する」女性と「ロースクールを出て法曹界で活躍する」女性が併存するようになった。こうした社会の“男女格差”を数値化するというのが、そもそも難しい。GDPの高い国の数値が振るわない理由の1つだろう。

 女性にとっては大問題の出産、育児でも、メイドを雇う伝統のある国と、そうではない国とでは状況が異なる。高等教育も大学まで無償の国もあれば、日本のように有償の国もある。今回の馬鹿馬鹿しい総選挙で政治不信が頂点に達した人も多いだろう。投票に行くのもモチベーションが上がらないのに、男であろうが女であろうが、政治家になる気など起きるわけもない。

 他にも細かな疑問はいくつもあるが、「女性のほうが男性より教育水準が高い」国に「ジェンダーギャップが存在しない」と判断されている点は首を傾げざるを得ない。男性が劣位に置かれるのも格差のはずだが、この調査はあくまでも「女性がどれだけ男性に比して劣位にあるか」しか興味がないようだ。

 最後にランク対象の144カ国を「北米」、「欧州」、「中南米」、「大洋州」、「アフリカ」、「アジア」、「中東」とグループ分けして、平均順位を出してみよう。北米32.5位、欧州47.7位、中南54.2位、大洋56.3位、アフ89.5位、アジ91.6位、そして中東が126位となった。

 この数字を見ると、欧米にとって“異質”なエリアを低位にしたようにも思えるが、下衆の勘繰りかもしれない。

 とにもかくにも、日本が依然として男女平等を達成していないことは間違いない。だが日本が男女平等を促進する効果的な政策を立案、実施するためにも、114位というデータは百害あって一利なしだ。忘れた方がいいだろう。

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週刊新潮WEB取材班

2017年11月15日掲載

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