母子家庭球児が「恩返し」の大量プロ入り プロ野球ドラフトの人間ドラマ

野球 週刊新潮 2017年11月9日神帰月増大号掲載

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 東の清宮幸太郎(18)=内野手・早実高=、西の安田尚憲(18)=内野手・履正社高=とともに高校ビッグ3と称される中村奨成(18)=捕手・広陵高=は広島カープが1位指名。同じドラ1でも、父・克幸氏の影響が大きい清宮とは、その家庭環境はだいぶ違っている。

 全国紙のアマチュア野球担当者によれば、

「中村は3歳のときに両親が離婚。小1から野球を始めていますが、母親の啓子さんがキャッチボールの相手をしたそうです。広陵に進学後は中井哲之監督が父親代わりになり、ヤンチャなところのある中村を厳しく指導した。実際、中村は監督について“父親がどのような存在なのか自分にはわからないが、高校に入ってからは親父のような存在でした”と話しています」

 他に、巨人に1位指名された鍬原(くわはら)拓也(21)=投手・中央大=も、母親の女手一つで育てられている。

「両親の離婚で、岡山から奈良に引っ越してきたのは3歳のとき。妹と自分を育ててくれた母親の佐代子さんには人一倍尊敬の念を持っているみたいです。今年、グラブの色を青から佐代子さんが好きな紫に変えると、“親孝行”と刺繍で入れました。佐代子さんの仕事は、工場での検品のパート。家計を助けるために、鍬原は中学の3年間、ボロボロになるまで1つのグラブを使い続け、高校進学も特待生で入れるからと北陸高校に決めました」(同)

 巨人ドラ1ならば、契約金で1億円は確実。“親孝行”できるのは間違いない。

 オリックスから4位指名の本田仁海(ひとみ)(18)=投手・星槎国際湘南高=も母子家庭である。

「本田は中学時代、目立った成績も残せなかったため、横浜高校や東海大相模などの強豪校から声はかかりませんでした。でも、桐蔭学園から移ってきた名将、土屋恵三郎監督の目に留まったのです。星槎の野球部は全寮制のため、本田は母のもえみさんを1人にさせたくないと悩んだ。でも、もえみさんから“お母さんも頑張るから。仁海の成長を楽しみにしているよ”という後押しを受け、入学を決心したそうです」(同)

 本田の帽子のツバには、母に向けた“恩返し”との言葉が書かれているという。

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