声をかけるのが恥ずかしい… 「AIスピーカー」普及のカギ

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おもちゃのよう

 だが、すべてのリクエストに応えてくれるわけではない。解散総選挙のニュースは?と細かく指定すると答えられないし、恋人を作るにはどうしたらいいか、という漠然とした質問には、

「ごめんなさい、わかりません」

 と、冷たい対応。さらに、こんなトラブルもある。

「小学生が算数の宿題をするのに、答えをスピーカーに求めて、親が慌てて止めるなんてことも起きているそうです」(法林氏)

 先の加谷氏が言う。

「現状ではおもちゃのような使われ方ですが、アマゾンのスピーカー“エコー”が上陸すれば風景はガラリと変わるでしょう」

 アメリカでアマゾン製はシェアの7割を占め、エコーの販売台数は累計1000万を超える。年内には日本で発売される予定だ。

「ネットショッピングを声で行うことができるようになります。中には、子どもがいたずらで注文してしまうケースもあるものの、アメリカではすでに一般的。今年6月、日本でもファミリーマートがLINEと提携しました。今後、小売りがスピーカーを通じてユーザーに商品を勧めるなどの新しいビジネスが生まれる可能性もあります」

 さて、日本でも新しい生活必需品になり得るか。法林氏が指摘する。

「“OK、グーグル”などと声をかけるのは、実際にやるとかなり恥ずかしい。日本ではスマホの音声認識機能の利用率が他国に比べて低いこともあり、家庭で使う上で、家族間で楽しめるかどうかが重要です。テキスト入力が苦手な高齢者や家にいる時間が長い母親層が普及のカギとなるでしょう」

 グーグルホームに、AIスピーカーは日本に浸透するか、と尋ねると、

「すみません、(その質問には)お役に立てそうにありません」

 ご自身の未来には自信がないようで――。

週刊新潮 2017年11月2日号掲載

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