ダイエットによくある“最初は減ったのに”の悩み 原因は「基礎代謝」

ライフ週刊新潮 2017年10月26日号掲載

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食欲の秋に食べて痩せられる「基礎代謝」の活かし方(1)

 食欲の秋たけなわ。新米にサンマ、秋茄子から松茸まで、旬の食材にお腹周りが気になる季節でもあるが、恐れることなかれ。自身の「基礎代謝」を上手に活用すれば、適正体重をキープしながら味覚を楽しめるのだ。食べても太らない、一石二鳥の健康法を指南する。

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 食べ過ぎが肥満を招くのは自明の理。が、痩せたければ運動するか食事量を減らすしかないと考えるのは、そもそも間違いのもとだという。

 糖尿病内科医の竹尾浩紀・たけおクリニック総院長が指摘する。

「人間が運動や食事制限だけで痩せるのは不可能です。過酷な減量を続けるボクサーでも体脂肪はゼロにならないし、膨大なカロリーを消費するマラソン選手も、競技中に餓死しません。それはなぜか。謎を解くカギは『基礎代謝』にあります」

 すなわち、

「私たちが安静にしていても消費するエネルギーのことです。体を激しく動かせばその値は上がり、じっとしていればゼロに近づくと思うかもしれませんが、そんなに単純ではない。人間が1日に使うエネルギーのうち、基礎代謝は6割を占めます。対して、体を動かして費やされるエネルギーはわずか3割でしかないのです」(同)

 過去、ブームになった減量法を振り返ると、何らかの形で食事制限を課すことが多かった。リンゴやゆで卵など特定の食品だけを口にする単品ダイエットから、果物や野菜のシャーベット状ドリンク、スムージーを飲むものまで。油抜きダイエットは今でも健在だし、近年は糖質制限が大人気だ。

 が、新たな減量法が次々生まれるのは、それだけ失敗した人が多いということ。それらはいずれも、基礎代謝のメカニズムに反していたのである。

「ダイエットを成功させるには、消費カロリーが摂取カロリーを上回るのが大前提。ところが食事制限で摂取カロリーが減少すると、体内では餓死を防ごうとする作用が働き、自動的に基礎代謝を低下させます。多くの減量法が出足だけ順調だったり、太った人のみに効果的だったりするのは、基礎代謝が高い状態にあったため。それが下がれば体重は減らず、最後は停滞期に突入してしまいます」(同)

 食べないのに痩せない、あるいは運動に取り組んでも、6割を占める基礎代謝が減少すれば焼け石に水。“最初は減っていたのに”という苦悩の原因は、ここにあったのだ。

 では、自分の基礎代謝を知るにはどうすればよいか。医療現場では、1918年に発表された「ハリス・ベネディクトの式」で近似値を算出する方法が一般的で、これを日本人向けに補正した数式は、以下のようになる。

【男性】〈66+(13・7×体重kg)+(5×身長cm)−(6・8×年齢)〉

【女性】〈665+(9・6×体重)+(1・7×身長)−(7×年齢)〉

 例えば50歳男性で170センチ、65キロの人は1466キロカロリー。35歳女性で160センチ、50キロだと1172キロカロリーと、驚くほど多い。ちなみに巷のファミリーレストランで提供されている「牛カルビとミックスフライ和膳」は、焼肉と海老フライ、クリームコロッケ、ご飯、味噌汁など合計1147キロカロリー。相当なボリュームなのに、1日の基礎代謝の消費量は、これを上回るというわけだ。

 運動に換算すると、ジョギングで消費するカロリーは「体重kg×距離km」で求められる。体重50キロの女性が「和膳」のカロリーを消費するには約23・4キロと、ハーフマラソン以上を走らねばならない。

 先の数式は、若くて大柄な人ほど数値が高くなる仕組みだが、これはあくまで近似値。基礎代謝とは本来、個人差が大きいのだという。

「人類は“燃費のいい人と悪い人”の両方を誕生させ、過酷な環境を生き延びてきました。基礎代謝が高い人は爆発的なエネルギー消費が可能で、マンモス狩りに向いています。逆に低い人は、氷河期などの飢餓状態でも生き延びる確率が高いということです」(同)

 自らの数値を知り、さらに“傾向”も把握しておけば万全だ。それには、

「1日2回、体重計に乗ってみましょう。起床時と就寝前に1度ずつ測ると、折れ線グラフができます。朝晩で数値が1キロ以上動く人は代謝が高いと考えて問題なく、逆に同じ体重を維持している人は、代謝が低いはず。肥満に悩む女性の折れ線グラフは、見事に横ばいで微動だにしません」(同)

 こうした予備知識なしに減量を始めると、停滞期がストレスとなり、結果、抑えていた食欲が爆発。ついにはリバウンドの餌食となる。医学博士で管理栄養士の本多京子氏が解説する。

「例えば体重55キロの人が食事制限型のダイエットを行い、1週間で5キロ痩せて50キロになったとします。内訳は筋肉と脂肪が2キロずつ減少して4キロ、そして体内の水分が1キロ減というところでしょう。ですが、リバウンドで55キロに戻ると、増加分のうち脂肪が4キロを占め、残り1キロが水分というケースが珍しくありません。筋肉や水分は比較的簡単に減らせますが、脂肪はなかなか落ちないのです」

 医学的に誤ったダイエットに励むことで、皮肉にも痩せにくい体をせっせと作り上げることになるのだ。日本薬科大学学長である百済診療所の丁宗鐵(むねてつ)院長も、

「ダイエットを『若返り=アンチエイジング』と捉えるのは絶対やめましょう」

 そう警鐘を鳴らす。

「我々が体重を気にするのは、健やかに長生きするためです。若い頃の体形を取り戻そうと極端に減らせば、栄養不足による健康障害が生じます。過度な減量や運動に血道を上げる中高年には『中庸』の意味を噛み締めてほしいものです」

(2)へつづく

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特集「一石二鳥のおいしい健康法! 『食欲の秋』に食べて痩せられる『基礎代謝』の活かし方」より