東大・宮台投手が26日のドラフトで「上位指名」なら将来に黄信号

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東大卒=未来の幹部候補説の誤り

 興味深いことに、「150キロの球速」はプロ野球に入る“パスポート”であっても、入団した後は忘れ去った方がいいという。

「プロに入る投手の多くは、アマ時代、球威で打者をねじ伏せてきましたが、プロでもそうできる投手は、ほんの一握り。成功している投手の多くは、むしろ、スピード競争をやめて、打者のタイミングをずらすのが、投手の本質だと気が付いた人です。特に左投手は、スピードにこだわった選手で成功した選手はほとんどいません。宮台には150キロのストレートがありますが、スピードを追うのはいったんやめて、ストレートと同じ腕の振りでストライクの取れる変化球をひとつ、なんとか身に付けて欲しい。そうなれば、投球を組み立てることが出来るようになりますからね。そこから先は、打者との駆け引きですが、これは文武両道を成し遂げた宮台であれば、工夫を重ね、根気強く探求する能力は高いはずですから大丈夫でしょう」

 ちなみに巷には「東大や京大を卒業したプロ野球選手は、たとえ引退しても、親会社の社員か、球団の管理部門で再雇用してもいいという考えで指名している」との説もあるが、小林氏は、それは都市伝説のようなものだという。

「マスコミが『野球でダメなら親会社かフロントか』という質問をするのは、それが東大の選手だからでしょう? フロントは、マスコミに聞かれれば、就職において引く手あまただという印象のある東大生ですから、『そうですね』としか答えようがない。『もしも野球でダメなら、本社で是非という声がある』とか『将来は球団の幹部に』などと、リップサービスで話を盛ることもあるでしょう。でも、それはマスコミに質問されるから、なんです」

 よく考えれば不思議だが、東大や京大以外の大学を卒業した選手に、そういう報道が行われることは滅多にない。

「東大や京大以外の、社会通念上、名門とされている大学に、頑張って一般受験で入った選手はプロに少なからずいまして、聞かれれば、同じように『そうですね』と答えると思いますが、そんな質問は出ない。もっとも、東大卒は使えないとか、国際ランキングが落ちたとか、ネガティブな話も少なくない中で、こうして東大を特別視してくださるのは、OBとしては嬉しいことですが」

 やはり宮台は1人の野球選手として評価を下されるというわけだ。確かに、そうでなくてはドラフトも盛り上がらない。

週刊新潮WEB取材班

2017年10月25日掲載

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