東大・宮台投手が26日のドラフトで「上位指名」なら将来に黄信号

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プロ野球でも必要な“ダイバーシティ=多様性”

 フロントサイドに立って見ても、「東大の宮台」はチーム編成上からも必要とする選手なのだという。

「高卒もいれば、大卒もいる、社会人野球から来た即戦力もいる、という多様性は、チーム編成上、実は重要なのです。日本のプロ野球では、新人は妻帯者でもない限り、寮に入ります。そこでの共同生活は、良きにつけ、悪しきにつけ、選手としても、社会人としても、その後に大きな影響を及ぼします。寮生には、切磋琢磨することはもとより、多様な価値観に触れ、様々な困難を克服するための引き出しを増やしてほしいのですが、同じような出身母体ですと、価値観も偏りがちです」

 大卒ルーキーが、ちょっと難しい漢字を知っているだけでも、“同期”にとっては刺激になるという。高卒ルーキーにとって社会人選手の人生経験は、驚異と言っていいかもしれない。逆に高卒選手の若々しさから、大卒、社会人選手が影響を受けることも少なくないだろう。

「そうやってルーキーたちは、人間としての幅を広げていきます。これこそが、プロ野球選手としての成長を促します。チームの一員としての“組織力”も高まっていく。この積み重ねが選手層を厚くして、チームを強くするんです」

 小林氏が懸念を示すのは、「話題性優先による、実力以上の上位指名」の可能性だ。例えばロッテの田中英祐は京大卒。ドラフト2位で指名され、プロ野球に進んだ。しかし今年、ロッテから戦力外通告を受けた。田中はトライアウトを受けるとの報道もある。

「伸び代に期待の大卒の選手に2位は高過ぎたように思います。フロントは、多様性や話題性など、プラスαの要素も加味して、大局的に考えますが、現場、特に選手はそういう見方はしない。野球の能力を、唯一無二の絶対基準に置く世界のなかで、順位と契約金に見合わないことからくる重圧は、想像を絶するものがあるのです。大卒の2位は、プロ野球の現場では即戦力ですから、田中は、その重圧のもと、必要以上に本格派を目指し、結果を求めてもがくなかで、自分で自分を追いつめてしまっているように見えました。伊東前監督の『かわいそうなことをした』というコメントには、そんな趣旨があったのではないかと思います。宮台には、そんな余計な重荷は背負わせたくない。伸び代はとても魅力的な選手ですから、戦力になるまで時間の猶予がある順位で入って欲しいですね」

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