大物漫画家2人の共作 喧嘩にならないワケ

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■「有名漫画家が共作」という前代未聞のスタイル

 式には共著のとり・みき氏も駆け付けた。“相棒”の晴れ舞台を目の前にしながら、「喧嘩別れしない理由」を質問させてもらった。

「2人で仕事をするのは足かけ5年になりますが、互いに尊敬の念を持っていて、まだその気持ちを失っていないということでしょう。あとは……お互いの忍耐力が強いからかな(笑)。でも、最初から今まで僕は変わらずずっと楽しいですよ。こんなに描くのが楽しい仕事はない。楽しくないことは続けられない」

『プリニウス』は日本でもヒットし、更に中国語版、スペイン語版、韓国語版、フランス語版と翻訳され、何といよいよイタリア語版も発売されるという。

「ハリウッド映画が日本を舞台にすると、事実とは異なる描写に違和感を覚えることがあります。一方で、私たちの『プリニウス』は時代考証を、できるだけ正確にしようと努力を続けています。そうしたことも、少なからぬ国で一定の評価を受けている理由なのかもしれません」(同)

 もうイタリア人ですら忘れていたプリニウスを日本の漫画家2人が“発掘”して作品化し、それをアジアやヨーロッパの人々が愛読する。よく考えてみれば極めて不思議な光景だ。日本の漫画が世界の「MANGA」になったと解釈するのは簡単だが、やはり作家2人の力量が図抜けていることは言うまでもない。

週刊新潮WEB取材班

2017年10月23日掲載

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