大物漫画家2人の共作 喧嘩にならないワケ

文芸・マンガ2017年10月23日掲載

  • 共有
  • ブックマーク

 古代ローマの“知の巨人”が主人公の漫画『プリニウス』は、2013年から月刊誌「新潮45」での連載が続いており、今年10月7日にはコミック第6巻が発売された。作者はヤマザキマリ氏と、とり・みき氏の2人という極めて珍しい合作スタイルだ。

 ***

 そのヤマザキ氏がイタリア政府の「イタリア共和国星勲章・コメンダトーレ」の叙勲を受けた。10月13日に東京・三田のイタリア大使公邸で勲章伝達式が開催。ヤマザキ氏が流暢なイタリア語で謝辞を述べる場面もあった。式の様子をレポートでお届けしよう。

 漫画『プリニウス』は、古代ローマの博物学者、政治家、軍人である「大プリニウス」(AD22 or 23~79)の生涯を描く。知的好奇心を喚起するストーリーだけでなく、ヤマザキ氏と、とり・みき氏という共に独立した漫画家が共作するというスタイルも人気の理由だ。基本的にはヤマザキ氏がストーリーと全体の構成を決めて人物を描き、とり氏が背景などを描いて2人の絵を合体させ、仕上げる。

 伝達式では、ジョルジョ・スタラーチェ駐日大使が受賞理由を説明。「長年にわたってイタリアの前向きで肯定的なイメージを広め、日本とイタリアの友好促進に貢献した」と称賛。「コメンダトーレ」をヤマザキ氏に贈った。

 ヤマザキ氏は返礼のスピーチで、17歳でフィレンツェのイタリア国立フィレンツェ・アカデミア美術学院に入学し、油絵と美術史を学んだことを回想。「それからの11年間は食べていくことも厳しかったです。電気、水道、ガスの全てが止められ、なんて外国人に厳しい国だと恨んだこともありました。しかし大学の担当教授からは『古代ローマ史を学べば、これからの人間の趨勢が全て分かる』と諭され、自分の周囲にいる全てのイタリア人から励ましと導きを受けました」と感謝の意を表した。

次ページ:「コメンダトーレ」が持つ、意外な「別の意味」

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]