再び疑惑の国有地売却で「戦犯」は「森友問題」のあの役人

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近財役人の妄言

 それでは、今回の入札の奇妙な点について順に見ていこう。まず指摘しなければならないのは、最低入札価格が異様に安いことだ。

「最低入札価格は4億6000万円。坪6万3000円ということになりますが、あの辺りの土地は普通に売れば坪50万円くらいなので、8分の1程度ですね」(不動産関係者)

 無論、安いのには理由がある。土地の形状や周辺環境については図面を参照していただきたいが、

「土地の南側に道路が走っていますが、これは空港の敷地であるため、土地を購入した後は使用できない。つまり、この土地は北側のほんの一部しか道路と面していないのです」

 と、不動産関係者が続けて語る。

「しかも、その道路の幅が4・7メートルしかないため、土地を入手したとしても、建築基準法により、土地全体を一気に開発することはできないのです。厳密に言うと3000平方メートルずつであれば開発できるのですが、約2万4000平方メートルもの土地を8回に分けて開発するのは現実的ではありません」

 すなわち、一般の業者には、実質的に「開発不可能」な土地が入札にかけられている、というわけだ。では、どこならこの土地を開発できるのかと言えば、隣接している会社である。それは、第一屋製パン、丸池物産、新関空の3社で、ここ数年、問題の土地に一番深く関わってきたのは新関空である。

 問題の土地が国交省から財務省に所管替えされたのは2015年。それより2年も前から、前述した通り、池田市、近財、新関空の3者でこの土地の再開発についての協議が続けられてきたのである。かような背景から、入札は形式的なもので、関西エアポートが落札することが決まっているのでは、と疑われていたわけだ。しかも異様に安い値段で――。

 近財の担当者に聞くと、

「空港運営会社以外の者でも有効活用が見込まれる物件であるため、一般競争入札を実施するものであり、入札は形式的なものとのご指摘は当たらない」

 として「出来レース」疑惑を否定するのだが、池田市の担当者はこう語る。

「まぁ、“決め打ちなんちゃうの”と捉えられても仕方ないでしょう。僕らからしてみれば、正直な話、関西エアポートさんが買ってくれた方がいいものが出来るだろうという気持ちはあるんですけどね……」

 言うまでもないことだが、国有地が高く売れれば、国庫に入る金も増える。しかし、近財の池田氏は、3者による事前協議の席で、

「“ウチはとにかく売れたらええねんから”と啖呵を切ったそうです」

 と、池田市の倉田市長(前出)は明かす。

「今回の土地の最低入札価格の4億6000万円は正直、我々も安いと思った。近財がどうしてこんな入札価格設定にしたのか、ちょっと分からないですね。でも、近財の池田さんとしては、いくらで売れるのかは自分には関係なく、とりあえず目の前にある土地をどんどん捌く、と。そういう考えの人なのでしょう。そういう意識こそが、森友の問題を生むことに繋がってしまったのだと思います」

 森友問題と今回の疑惑は、“根”の部分で繋がっているのである。

週刊新潮 2017年10月12日神無月増大号掲載

ワイド特集「秋霜烈日」より

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