再び疑惑の国有地売却で「戦犯」は「森友問題」のあの役人

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 奇妙な国有地。その入札による売却の背景を探っていくと、見えてきたのは以下の「疑惑」だった。入札とは名ばかりで、初めから落札する業者が決まっている「出来レース」なのではないか――。しかも、その疑惑の“戦犯”の1人は、あの「森友学園問題」でも重要な役割を果たした近畿財務局の役人だった。

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 その近財の役人とは、池田靖・統括国有財産管理官(当時)である。昨年5月に学校法人「森友学園」が運営する塚本幼稚園で行われた国有地の売買交渉。籠池泰典前理事長の、「ゼロ円に近い形で払い下げをしてほしい」という無茶な要求に対し、「ご提示できる最大限でやる」と約束したのが池田氏だ。やり取りを録音した音声データは、幾度となくテレビでも取り上げられたからご記憶の方も多いだろう。

 その池田氏が、入札前の「事前協議」に参加した問題の国有地は大阪国際空港(伊丹空港)の北にあり、空港の敷地に隣接している。広さは約7300坪。古びた空港職員官舎が立ち並んでいるが、すでに退去済みで人けは全くない。近財がこの土地を期間入札の対象物件としてオープンにしたのは今年8月18日。入札期間は8月30日から9月15日までで、開札日は10月6日となっている。

 この入札の「出来レース」疑惑の取材を本誌(「週刊新潮」)が始めたのは9月上旬。落札することが事前に決まっているのでは、と疑われていたのは「関西エアポート」という会社である。昨年4月、新関西国際空港株式会社(新関空)から関西国際空港と大阪国際空港の運営権の譲渡を受けたのが、関西エアポート。同社の40%の株を保有するのはオリックスで、宮内義彦元会長も社外取締役に名を連ねる、歴とした民間企業だ。

 入札に至るまでにこの土地を巡っては、土地が所在する池田市、近財、新関西国際空港株式会社の3者で「事前協議」が続けられていた。その中身については後で詳述するとして、入札期間の締め切りギリギリになって起こった「奇妙な事態」に先に触れておきたい。本誌が各所に一斉に取材をしていた最中の9月14日に、

「関西エアポートさんから市役所の空港担当の職員に連絡があったのです」

 と、池田市の倉田薫市長は話す。

「今回は応札しないと伝えられました。週刊新潮の取材の影響ですよ。関西エアポートさんは今、関空と大阪国際空港に加えて、神戸空港の運営権も取得するという非常に重要な局面にある。そういう時に出来レースなどと言われたら痛いという思いがあり、応札しないことになったようです」

 関西エアポートの担当者に聞くと、

「(応札しないとの決定に)貴誌の取材は一切関係ありません」

 とのことで、倉田市長の見方と食い違う。いずれにせよ、何も後ろ暗い点がないのなら、本誌が取材に動こうと、堂々と応札すれば良いだけのこと。直前での「見送り」は何を意味するのだろうか。

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