「正しくなければテレビじゃない」時代のお笑い番組の難しさ 保毛尾田保毛男が炎上したワケ

エンタメ 芸能 2017年10月03日

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「女子力」は一発アウト

 ポリティカル・コレクトネス(PC)とは、20世紀半ばから使われ出した言葉で、人種や民族、宗教や性別、さらには性的指向まで、いかなる観点からみても差別や偏見を含まない態度のことをいう。特に用語や表現の面で注意が求められ、1970年代にはフェミニズムと結びつき、その影響から日本でも「看護婦」を「看護師」、「スチュワーデス」を「キャビン・アテンダント」、「ビジネスマン」を「ビジネスパーソン」など、中立的な言葉に改めらるようになっていった。

 山口さんは「2017年時点において、日本のPCはアメリカのスタンダードにはるかに及ばない」と指摘しつつも、日本でもPCが幅を利かせるようになってきた例として「女子力」という言葉についてこう述べている。

「2016年を境として『女子力』という言葉に対する風向きが変わったように思う。たとえば、資生堂の化粧品CMの中で、25歳の誕生日を迎えた女性が、友人に『今日からあんたは女の子じゃない』、『かわいいをアップデートできる女になるか、このままステイか』と言われる内容が問題となり、放映中止に追い込まれた」

 しかし先に述べたように日本のPCへの真剣度はまだまだ低い。山口さんは、「ネット検索をすると『女子力』を高めるための何とか、という言葉が膨大に引っかかる。ここで言う女子力とは、身だしなみだったり、料理だったり、気遣いだったり、要するに女性に期待される“能力”のことで、女としての価値の高さを具現する。慎ましいこと、優しいこと、家庭的であること――女子たる者こうあるべきだと期待して、それを『女子力』と命名し、女子たる能力の高低を評するのだ。この発想は、アメリカならば、グレイゾーンをとび越えて一発でアウトだろう」と指摘する。

 要するに、PCの観点からすると、「男は…」「女は…」という発言は性差別とみなされる――これがPC先進国、アメリカの「常識」なのである。

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