安値競争で懸念される「日本の軍事力」低下 三菱重工“連続落札失敗”がはらむ問題 

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ニッチな技術こそ宝

 そんな風潮にあって懸念されるのは、装備品の質の低下である。

 実際に一昨年、三菱電機が受注した空自のレーダーサイト用機器約5000個のうち、およそ半分で不具合が判明。結果、防衛省が24億5000万円余りの税金をドブに捨ててしまった事案が、会計検査院の資料から判明している。「ものづくり」の灯は、ここでも大いに揺らいでいるのだ。

 さる防衛産業関係者は、

「プライム企業は得てして『赤字でもお国のために』というのですが、本来企業はそうならないよう努力をすべきでしょう。実際は苦境にあえぐ下請けの部品メーカーのほうが、世界に通用するニッチな技術を持っている場合が多いのです」

 武器輸出三原則は3年前に見直されたものの、国際競争力は依然、水準以下と言わざるを得ない。

「例えば米国など同盟国相手に『この部品がなければあなた方の戦闘機は動かない』といった形で共同開発を目指すべきです。民間機のボーイング787では成功したのだから、それを防衛産業でやればいいのです」(同)

 先の桜林氏も、こう言うのだ。

「『世界の軍事力ランキング』などが発表されると、日本は大体いつも7位あたり。これらの順位は、単に兵士の人数や軍艦や戦闘機の保有数だけで決まるのではなく、国全体の経済力や工業力も合わせて評価されます。特に自国で兵器を製造できるというのは、外国からすれば重要な“抑止力”。その利点を、日本は自ら潰そうとしているようにも見えるのです」

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