“不正会計”を乗り切った富士フイルム、東芝との違いは

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株価も回復基調

「他の会社のように今回の不祥事が屋台骨を揺るがすことはありません」

 8月30日に開かれた中期経営計画発表の記者会見で、富士フイルムHDの古森重隆会長(78)=写真=はこう語った上で、

「個人的な問題だと思うが、個人的な問題が起きないように防ぐのが企業で、子会社の末端に至るまで管理していきたい」

 古森会長が公の場で“不正会計”に言及するのはこれが初めて。だが、富士フイルムHDの対応は、東芝のそれとは比較にならないほど迅速だった。経済誌の化学メーカー担当記者の解説では、

「古森さんの指示で、いち早く第三者委員会を立ち上げて、“海外子会社の暴走と、本社の隠蔽”と結論付ける一方、富士ゼロックスの会長を解任し、古森さんが兼務する人事を発表しました。また、中期経営計画では、今後3年間でM&Aに総額5000億円を投資することを明言しました」

 マーケットも古森会長のリーダーシップを高く評価している。不正会計発覚後に3932円まで下落した株価は、徐々に回復して記者会見後の9月4日には4297円まで値を戻した。最悪の事態は回避できそうだが、今後の課題は、

「富士フイルムHD総売り上げ約2・3兆円の構成を見ると、インスタントカメラなどの映像事業が15%、医療機器や化粧品などのライフケア事業が39%、そして富士ゼロックスを主体としたオフィス機器事業が46%。業務転換は着実に進んでいますが、医療機器や化粧品部門の売り上げを50%以上にすることが課題でしょう」(同)

 古森会長も傘寿目前。もう1つの重要な課題は、後継者の育成だ。

週刊新潮 2017年9月14日号掲載

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