“不正会計”を乗り切った富士フイルム、東芝との違いは

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 上場廃止が現実味を帯び、会社存続の危機も囁かれている東芝。崩壊は、“不正会計”から始まった。が、同じ不祥事を招きながら富士フイルムホールディングス(HD)は、その難所を乗り切ったかに見える。両者の違いは一体何なのか。

 富士フイルムHDが2017年3月期連結決算の公表延期を発表したのは今年4月20日のことだった。全国紙の経済部デスクによれば、

「公表延期の原因は、傘下で事務機器を扱う富士ゼロックスのニュージーランド子会社で、利益水増しによる不正会計が発覚したからです。その後、豪州の子会社でも同様の不正が見つかり、結果、過去6年間で計375億円もの利益水増しが判明しました」

 その後発表された富士フイルムHDの17年3月期連結決算を見ると、純利益は前期比13%増の1315億円。不正会計が与える影響は決して小さいとはいえない。富士フイルムHDのOBが解説するには、

「富士ゼロックスは1962年に英国のランク・ゼロックス社と、富士写真フイルムの共同出資で設立されました。それが90年代後半に入りランク・ゼロックス社の経営が悪化したことで、01年に富士ゼロックス株をうちが買い取って子会社化したのです」

 01年当時、富士ゼロックスの“実力者”は、経済同友会代表幹事などを歴任した小林陽太郎会長。ちなみに、小林氏の父親は富士写真フイルム時代の3代目社長を務めている。

「フィルム事業が不振で業務転換を模索していた時期だった。この株式買い取りは大成功。富士ゼロックスの営業利益は、今でもグループ全体の約4割を占めている。が、“稼ぎ頭”ということで親会社といえども、迂闊に口出しできない雰囲気がありましたね」(同)

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