茂木大臣の“手帖配布”問題 信憑性を欠いた反論、説明責任は

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信憑性を欠いた主張

 今回は公選法199条の2に触れる可能性があり、お膝元の栃木県選挙管理委員会も、

「一般に、公職の候補者が選挙区内の有権者に有価物を戸別訪問で配布する行為は、公選法199条の2第1項が禁じる寄附行為にあたります。戸別訪問で有価物を配布する行為は、例外として認められている集会や講習会における寄附の形態とは異なりますが、個別具体的なケースについては司法が判断するものでお答えは差し控えます」

 と言及する。他方、茂木事務所はこう答える。

「事実関係については、すでに9日付コメントで説明したとおりです。(衆議院手帖は)政党支部が配布した次第であり、公選法199条の3が禁止する寄附ではありません。(大手メディアの幹部に電話をかけたとかパワハラなどは)事実ではない」

 あえて199条の3を持ち出したわけだが、政治資金問題に明るい上脇博之神戸学院大教授は、

「茂木氏が言う公選法199条の3とは、公職の候補者が代表になっていない政党支部が寄附した際に、問題となる条文です。今回、彼は自身が代表を務める『自民党栃木県第5選挙区支部』以外の政党支部が手帖を配布したと主張している。では、その政党支部はどこなのか。大臣側に説明責任があります。具体的な政党支部名を明示できない以上、その主張は依然として信憑性を欠いたものだと言わざるをえません」

 と呆れた口ぶり。加えて、

「仮に、茂木氏が代表を務めていない政党支部が手帖を配布していたとしても、公選法199条の3は公職の候補者が氏名を類推させる方法で寄附をすることを禁じています。茂木氏の秘書は、手帖を配布する際に事務所の名刺を一緒に配る場合もあったということなので、まさに寄附に該当すると言えます。更に付け加えると、公選法199条の2第2項が禁じる『公職の候補者等を寄附の名義人とする公職の候補者等以外の寄附』にも当たる恐れがあります」

 有権者の歓心を得るつもりだったろうが、当選8回を誇る重鎮としては信じられないほど拙劣である。

週刊新潮 2017年8月31日秋風月増大号掲載

特集「嘘も再生する経済再生相! 『茂木敏充大臣』の首が飛ぶ贈呈者リスト」

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